今まで大して危ない目にも合わず、いい気になって旅行してたら、遂にやられてしまいました。
きっと神様が『こんガキャあ、最近調子ん乗って気ィ抜いとんな。ちょっとヤイトすえて気ィ引き締めさせたろ』と思ったんでしょうな。
これから長旅しようと思ってる私にとっては、丁度いい気付け薬になりました。・・・とでも思わないとやってらんねぇよーーー。(;_;)
実はペルーをぐるっと回った後にボリビアに入ったのですが、ペルーは危ない！とゆうのがあってそれなりに緊張してたのです。それでもペルーの田舎町を回ってる間にだんだん気が抜けてきて、ボリビアに入って完全にユルユルになってしまった。
だってボリビア、いい感じなんですわ。特にラパス！パッと見た感じ、全く危険な香りがしないんです。そのラパスとゆう町で被害にあってしまったんですね。
威勢のいいオバちゃんがウジャウジャ腰を下ろしてる市場街があったり、そこそこのビジネス街があったり、ちょっと行けば欧米風のミョウに雰囲気のいい通りがあったり、なんか『硬軟取り混ぜてお出迎えしてます』とゆう感じで本当に嬉しくなるような町でした。
そこにムリリョ広場とゆう、これ又雰囲気のいい広場があるんですが、鳩がイッパイいて家族連れやらアベックやらがベンチに腰を下ろし、みんなしてのーーーんびりしてるんですよ。周りはココは欧米か？とゆうような洒落た建物が建っていて、日曜日とゆうこともあり本当にのんびりと、幸せな気分に浸っていたのです。・・・そして、私の悪夢はここから始まった。
それは、うららかな日曜の昼下がり、午後２時頃の事でした（真っ昼間だよ、真っ昼間！）。
ムリリョ広場でボーッとした後、その近くにあるサンフランシスコ寺院とゆう所へ行こうとしたんだけど、その時通行人に道を聞いたんですね（ニコヤカで爽やかそうな兄ちゃんに）。最初その兄ちゃんは案内すると言って来たんだけど、それは断って道順だけ教えてもらいました。兄ちゃんはあっさり承知し、身振手振で詳しく教えてくれた。非常にニコヤカに。
教えてもらった道をチンタラゆっくりと歩いていると（ラパスは高地な上、坂ばっかりで歩くのがすごく疲れる）なんと、先程の兄ちゃんが道の前に立っているではないですか。右側の坂道をコッチだよ、とゆう風に指さして（人通りは少なかったですが、何人かは通行人がいる坂道でした）。
私が言われた道を曲がって坂を歩きだしても、その兄ちゃんは付いて来る様子はありません。同じ所に立ったまんま私を見てるのです。私が手を振ると、その兄ちゃんも手を振って「じゃあな」とゆう感じで元来た道を帰って行きました。
ほー親切な兄ちゃんだな、と思い再び歩き出したその瞬間！！後ろからいきなり首を絞められてしまいました！物凄い力です！！しかも、手の込んだことに、絞めた瞬間私の体をグッと後ろに引っぱって、私が足で踏ん張れない様にしたのです（様は中ぶらりんの首吊り状態ですね）。もう、パニック状態でもがくしか出来なかった！
朦朧とした意識の中で、道を教えてくれた男が目の前に立っているのが見えた。人相がガラッと変わって！（怖かったんだ、この時。ものすごく）きっとこの男とは別に、私に付かず離れず付いて来た実行犯がいたんだ。
何も反撃できない私は、無我夢中で前の男の目を指で突こうとしていた。今思うとメッチャクチャ危ない事をしてたんだけど（反撃されたらドーすんだ？！）。そして、・・・私は落ちてしまった。
なんか、夢を見たんですよね、その時。なんか、とても長い夢を。んで、目が覚めたらさ、誰かがオレの首を絞めてやがんの。
「あれぇ？オレ何で首絞められてんだろう？目の前の男は何やってんだ？そーいえばだいぶ前にもこんなことがあったなー？その時はどーなったんだっけ？」
・・・前じゃない！今だ！！今首絞められてる最中だ！！首締められながらも目が覚めたんだ。なんか、時間の感覚がおかしくなっていた。そして、目が覚めた私は、また男の目を突こうとしていた（だから危ないって！）。
再び暴れ出した私に、実行犯の男が再度きつく首を絞め直した。
で、その後、また落ちたんだけど、今度の落ち方はちょっと異様だった。なんか、時間も空間も何にもない感じ？スイッチOFF？ちょっとだけだけど“無”を感じちゃったよ。
ほんで、気が付くと犯人が坂を駆け登って逃げるところが見えた。しかし犯人を追いかける、なんてマネはとてもじゃないができなかった。・・・だって、怖かったんだもの。
為す術もなくウエストバックのカメラ一式を盗まれてしまった。しかし、ズボンの中の財布と胸に入れてた航空券が無事だったのは幸いだった（間抜けにも日曜日とゆう事に気付かずリコンファームしようと航空券を持ち出してたんだな）。
ちなみに、何人かいた通行人は、私が気がついたときには人っ子一人いなくなっていた。
・・・しかし、その後の事に、私はさらに愕然とした！ボリビア人が、だーれも助けてくれないんだ！
坂道を駆け降りて助けを求めたんだけど（坂を曲がると人通りもあり、店も何軒かある）、最初に入った店で「ポリーシア！！（警察）」と叫んでも何の反応もない。「ノーノー」と言うだけで、「あっち行け！」みたいな対応だ。
通行人に「ヘルプミー！」と叫んでも、何か汚い物でも見る様な視線をチラッと向けただけで、後は全く無視だ！向いの店に駆込もうとしたら、近づいただけで汚い物でも追払うかの様に「ノーノー」と言われてしまったよ。
「お前らそれでも人間かーー！！言葉分からんでもこの状況見たら察しがつくやろーー！！何で警察呼ぶぐらいの事が出来んのじゃあーー！！」
と言うような事を日本語で叫んだと思います。しかし、十数人いたボリビア人達は全くの無視でした。
私を見る眼差しは、驚きや恐怖や、ましてや哀れみの表情では無く、軽蔑の眼差しと迷惑そうな表情だけだった。
そんな中、たった1人だけ私に手を差し伸べてくれた人がいたのです。それは、浮浪者風のジイさんでした。
実はこのジイさん、私が襲われる少し前に私にくっ付いて来て、離れなかったジイさんなんです。私はこのジイさんの方を警戒していた。例の犯人が坂道で待っていた時、私はほっとしてしまったのだ（私は何てバカなんでしょう！！）。
そのジイさんは私を警察署まで連れて行ってくれて、スペイン語の出来ない私に代わってその時の模様を警察に説明してくれた。本当に、本当に嬉しかった（このジイさんと別れる時、私は不覚にも泣いてしまった）。
さて、こんなバカ野郎な私ですが、二度とこの様な事が起らない為に、少しでもアドバイスの真似事をさせて下さい。
これは基本中の基本でした。犯人が先回りしてた時点で「これはおかしい！」と、気付くべきでした。
同一人物に別の場所で「おや、又お会いしましたね」と言うパターンも危ないかもしれません。
ラパスの町自体は、危険な香りが全くしません！すごく和やかな町なのです。それだけに、余計に注意しましょう！真っ昼間でも安心できません。
ラパスは何処へ行くにしたって人だらけの道を選んで通れると思います。それが出来なかったらドンドンタクシーを使いましょう。夜は絶対タクシーだ！
私はウエストバックにカメラを入れてたのですが、これは失敗でした。ここに貴重品がありますよ、と宣伝して歩いてる様なもんです。
まだバカでかいバックパックを担いで歩いた方が首を絞められにくくていいかもしれません（と言う事を某パソコン通信会議室で発言したら、『大きなバックパックを背負ってても被害に会ってる人も居て油断はできません』とゆう返事が返ってきました。・・・やはり気をつけましょう）。
これは後で思ったのですが、ラパスは高地の上に坂だらけで歩くのがすごく大変でした。その時の私は誰の目から見ても『私は今、疲れ切っています』とゆう状態で歩いていました。
これが胸を張ってサッソウと歩いていたら、又違う結果になっていたかもしれません。
これも後で思ったのですが、いくら首絞め強盗が多いからといって、道を尋ねた人が偶然強盗犯人である確率は何パーセントぐらいだろうか？多分ムッチャクチャ低いと思う。
と、ゆう事は、これは偶然じゃあないんだ。
私はムリリョ広場からサンフランシスコ寺院へ行こうとしたのですが、それはケッコウ代表的な観光コースでした。そして私が道を聞いたのは、広場から寺院へ向かう道の途中の、ちょうど方向を変える曲がり角でした。一番道を尋ねる確率の多い地点じゃないだろうか？
そして、奴等はそこでアミを張って、ウスラバカの旅行者（私のことですね）が道を尋ねるのを待っていたんじゃないだろうか？
この事があってから、私は道を尋ねる時は、商店やら食堂やらの、ちゃんとその土地のその場所に根を生やしているであろう人達を探して聞くことにした。そして、複数の人に。
私は、今まで旅行してて色々と難儀な場面にあっています。この首締め強盗はその最たるものですが、それ以外にもだまされたりボラれたりと、まー色々あったわけですが、その全ての前に「あれ？なんか変だな？」と、引っかかるものがあったのです。なんとゆうか、変な違和感を感じたのです。
つまり、その「なんか変だな？」と思ったときに、「ま、いいか」とか思わずに、ちゃんと何で変だかを、違和感の原因を見極め、対処さえしていれば災難にあわずにすんだのです。
とは言っても、変だなと思ったときの全部が全部変だったわけじゃありません。実際に災難にあったのは、その内のせいぜい2〜3％でしょう。消費税より少ないです。
しかし、たった2〜3％だからといって見過ごさず、ちゃんと対処していれば、私にあった災難の全ては、100％防げたはずです。だからこれからは100％災難にあわずにすむのだ。
・・・のど元過ぎれば、にならなきゃいいんだけど。
当然とゆうか、やっぱりとゆうか、犯人は未だ捕まっていません。
皆様、南米方面へ行く時は、いや、どこでもそーですが、十分に注意しましょう。
なお、だーれも助けてくれなかったボリビア人について、こんな情報を頂きましたので、書き加えておきます。
『大使館の安全対策担当の方から聞いたんですが、首締め強盗のグループはかなり粗暴なやつが多いようで、現場に見張り役を置いていて、警察に協力した人に対して嫌がらせや直接暴力を振るうと言うことが行われているそうです。そのため、現状では一般の人の厚意というものを当てにはできなくなっていると言うことです。』
しかし、だとすると助けてくれたジイさんには、本当に感謝しなきゃなんないな。
おわり