さて、次の町に行くのはいいんだけど、実は私、エジプトのドコに何があるのかよく知らないのだ。カイロにはピラミッドがある。ってコトぐらいは知ってるけど、それ以外はほとんど知らない。ついでにエジプトのガイドブックも持っていないのだ。だけどエジプトに入りゃあなんとかなると思ってたんだな。んで、ガイドブックが手に入った。
最初はね、アスワンで名が知れてる宿に行って情報ノートを見せてもらおうと思ってたんだ。そしたらその宿は改修中で開いてなかった。しかたないから宿のおっちゃんに情報ノートだけでも見せてもらおうと思ったんだ。そしたら棚の所に地球の歩き方があったんだな。
「おっちゃんおっちゃん、その日本のガイドブックさぁ、くれない？」
「ダメだよぉ、これは宿のんだからあげるわけにはいかない。で、買わないか？」
あ、あんた、それはちょっと違うんじゃないか？でもまあ、ここでガイドブックが手に入りゃあ楽だよな。少々古いヤツだけど役に立つよな。
で、結局値切って購入しました。これがまぁ役に立つこと立つこと。
と、ゆうことで次に行く町が決まった。エドフォとゆう町だ。
この町はアスワンとルクソールの中間にある町なのだが、とりあえず何かの遺跡があるらしい。せっかくのエジプトなんだから、行く先々にある遺跡は見てみようと思ったので、ここにも立ち寄ることにしたのだ。
エドフォに行くために乗ったバスだが、これがまぁ、まぁとんでもない超デラックスバスだった。クーラーまで付いてリクライニングまでできた（久々のリクライニングで感激！）。それがまぁたったの３ポンド！いや〜〜さすが観光大国、なんか今までの旅行がウソみたいにラクチンだよーー。体なまっちゃいそうだよーー。
そんな超デラックスバスに乗り、意外と緑が多くていい景色を見ながら到着しましたエドフォ。そしてこの町、宿代高すぎ！
まずマトモな宿が一軒ぐらいしかないのが問題なのだ。しかもガイドブックに載ってそこそこ有名になったもんだから強気になっているのだ。シャワー共同のくせに最初４０ポンドとかぬかしやがった。値切っても２５ポンド以下には絶対に下げようとしないのだ。アスワンのあのデラックスホテルでさえ１５ポンドなんだぞ。従業員の態度も横柄だし、誰がこんな宿に泊まるか！
ちょっと意地んなって他の宿を探した。地元の人に色々聞きまくってしまったよ。そしてやっと見つけた。一泊６ポンドの宿だ。少々汚くて共同水シャワーだけど、スーダンの宿に比べたら充分に快適だ。
宿の近所の人たちです。後ろに見える小汚いのが宿です。
有名な宿に比べたら設備とかは全然なんだけど、近所周りが怪しくていいのだ。近所の人達も優しくていいのだ。
さあ、ここを拠点にさっそく散歩をしよう。
この町を散歩して、エジプトの特徴みたいなのがちょっと見えてきた。ここ、インドに近いわ。もう、お店屋さんがボルボル。
アスワンでは２５ピアストル（０.２５ポンド）のサトウキビジュースを１ポンドとか言われてしまった。
「あんた、お姉ちゃん。私ゃ同じジュースを２５ピアストルで飲んだぞ。あんたボってるだろ」
しかしお姉ちゃんはガンとして「１ポンドだ！」と言い張るのだ。しかも地元の人が隣で２５ピアストルで飲んでるんだぞ。だけどお姉ちゃんは全く無視してるのだ。この辺の強気な姿勢もますますインドだねぇー。
モチロン大半の店はちゃんとした料金なのだが、この手のボリ屋さんがけっこういる。アフリカの国でこの手のボリ屋さんはあんまりいなかったので、けっこう新鮮だぞ。
ここはひとつ、この国をインドと思うことにしよう。そーゆー心構えで行くとうまくいきそうだ。なんたってインドは私の得意科目なのだ。どーんとこいっ！！
まず、インドでボラれる一番の原因は、相場を知らないからだ。相場を知らないから言い値が正確なのかボラれてるかの判断が出来ないのだ。と、ゆうことで、さっそく相場のリサーチを始めよう。
でぇ、わたくしの厳密なるリサーチによると、この町の色んな物の物価、アスワンの半値だわ。こ、これは何かな、私はすでにアスワンでボラれてたのかな？この町はアスワンに比べたら小汚いから、その分物価も安いのかな？う〜ん、どうも違うような気がする。とりあえず、この町でちゃんと相場を把握しといた方がいいな。
そんなこんなで翌日、この町に来た目的である遺跡見物に行くことにした。
エドフォの遺跡は町の中にあるので歩いて行ける。とーぜんニセ学生証も活躍しました。ほんでここの遺跡、名前は忘れてしまったんだけど、ものすごく良かった！あんまりメジャーじゃないそうなので訪れる人も少ないらしいのだが、私はものすごく気に入った。素通りするにはもったいなさすぎる遺跡だ。
まずねぇ、真っ正面の建物の壁一面に、もーのすごく美しいレリーフが彫られているのだ。壁と言ってもデッカイんだぞ。ビルの４，５階建てぐらいの高さがある。そのデッカイ壁一面に彫られているのだ。
いい感じでしょーこの壁面！しかも彫り物がスゴク深く彫られていて立体的なのだ。中に女性の立ち姿が彫られてるのがあったんだけど、コレが特に、特に美しい！！体の線なんかフックらふくよかでヒジョーに色ッポイのだ。私、しばらく見とれてしまったもの。
ホント、このレリーフを見るためだけでもこの町に来る価値があると思うぞ。それぐらい、それぐらい美しいレリーフだった。
そしてワクワクしながら側面の壁の方に行ったのよ。当然そっちの壁にもレリーフがあった。すごくイッパイ彫られてあった。だけど、それがちょっと汚いのだ。汚いとゆうか、所々顔とかが削られてあった。明らかに人の手による仕業だ。イタズラとかじゃなくてきっと宗教問題とか（偶像崇拝はダメとか）、侵略者のどーのこーので削られてしまったのだろう。
もったいないよなー。反対側の側面も同じようなもんだった。無傷なのは正面のヤツだけだったよ。建物の中も、だいぶと傷つけられていた。ホントもったいないなー。
ほんで、なんか、思ったのだが、他のレリーフやらの削られ方を見ると、正面のレリーフだけが完全に無傷ってのは少々不自然なのだ。ひょっとしたら修復されてしまったのだろうか？
だけど、私は思うのだが、たとえ修復されていたとしても、あの美しさは本物だと思う。だって絵心皆無の私でさえ見とれてしまったのだ。あの美しさ素晴らしさだったら、オリジナルだろうが修復品だろうが無関係だと思う。私はやっぱりこの遺跡を強くおすすめするぞー。
さて、建物の中だが、何と言うか、がらんどう的な広い空間だった。ほんで壁やら天井やらに絵が書いてある。少々色あせてるが色とりどりの壁画だ。出来た当初ってのはきっとカラフルだったんだろうなー、と思わせるような絵だった。けっこう広くてゆっくり見て回れる。アブシンベルは車の帰る時間があったから見学時間が限られてたけど、ここは時間無制限だ。好きなだけ見ていられるぞ。
それから、ここもそーだったけど、エジプトの遺跡は建物の中が暗い。しかもストロボを焚いちゃいけないのだ。なので、高感度のフィルムが必要だ。私はｆ2の明るい広角レンズを持っていたけど、感度１００じゃあそれでもしんどかった。何枚もブレてしまったよ。
そして遺跡見終わった後で入口にある野外喫茶店で水（飲み物高いの）飲んでたんだけど、こっから正面のレリーフがよく見える。ここなら入場料いらないから、またお茶でも飲みに来るかな。
ところで、この町はアスワンとは打って変わって下町の雰囲気だった。けっこう大きな町なのだが、建物やら人やらロバやらがゴチャゴチャしててなかなか楽しい雰囲気なのだ。アスワンのようなオシャレな町もたまにはいいのだが、基本的にはこーゆーゴチャゴチャした町が好きだな。道にロバのフンがイッパイ落ちてるのもなんとなくインドだ。
さて、その翌々日ぐらいに私は移動した。けっこうペースが早いぞ。次の町はルクソールだ。ルクソール、この町の名前は知ってるぞ。あのツタンカーメンのお墓があるところだ！
ガイドブックによると、このルクソールはツタンカーメンのお墓があるだけじゃなく、他にも色んな有名な遺跡がウジャウジャあるそうなのだ。しかも、この町を拠点にしてアッチコッチの町へ遺跡を見て回れるらしい。これは長居するかもしれないな。
とゆうことでルクソールに移動したのだが、私は乗るバスを間違えてしまったらしい。ルクソールはナイル川をはさんで片方がツタンカーメンのお墓のある遺跡群の町（宿は少ない。あっても高いらしい）。もう片方が町の中心で安い宿やお店やなんやかやとニギヤカな町だ。
ほんでどーしたわけか私は遺跡の町の方へ行くバスに乗ってしまったのだ。着いた所は思いっ切りの田舎で畑や田んぼばっかりで宿なんかドコにもなかった。
仕方ないので渡し船に乗って川向こうへ行こうとしたのだが、この船代が高い！外人だけ高い！地元民の十倍ぐらい取りゃあがるんだ！私はここでかなりモメてしまった。三回ぐらい船を見送ってしまったよ。結局私の方が折れて高いお金払ったのだが、なんか納得いかないなー。
後で知ったのだが、この外人料金は船会社が勝手につけてるんじゃなくて、お役所（国？）からの指示らしいんだ。
う〜ん、そうすると悪いのはあの兄ちゃんじゃなくてエジプト国家だったのかー。しかしなぁ、それならそうと一言いえばいいのに（言ったとしても、たぶん私はゴネてただろな）。
さて、とゆうことでやっとたどり着いたルクソール。私はここで、やっと本来の私を取り戻すことができた。
