ルクソールではエルサラームって宿に泊まったのだが、この宿、日本語の本があったのだ！二十冊ぐらいある！日本語の本だ！
数冊の面白そうな本と数冊のそこそこ面白いかなーって本とその他多数の面白くなさそうな本があった。しかしそんなコトはあんまり関係ない！私はここ最近本を読んでなかったのだ。今では完全に活字中毒症状が出ていた。こんな状態で日本の本に出会うとマズイ！どっこにも行かないで本を読みあさりそうだ。そして、実際そうなってしまった。この宿に着いて数日間、私はほとんど外出せずに本を読みあさってしまったのだ。
数日目にして面白そうな本はほとんど読み終わってしまった。んで、中でも宮本輝の『草原の椅子』ってのがすごく良かったぞー。中年の私には実にシミジミとしたお話しだった。
いやーそれにしてもやっと一段落着いたよ。そして、やっとこさ最初の遺跡見物に出ることにした。宿から歩いて５分ぐらいの所にあるルクソール神殿だ（こんなに近いのに何ですぐに行かないかねー）。
えー正直に言いますと、このルクソール神殿はショボかった。私は昼間見に行ったのだが、この神殿は夜になるとライトアップされてすごくキレイになるそうなのだ。後で教えてもらったのだが、「ルクソール神殿見るなら夜に行かなくっちゃあ、こんなに近いから夜でも問題なく行けるでしょう」とか言われてしまった。
う〜ん、だけどそのためだけにまた金出してあそこに入る気はしないなー。外からでもチョット見れるからそれだけにしとこう。
その後も私は毎日ノタクタしてしまった。そしてやっと次の遺跡、カルナック神殿に出かけたのだ。
なんか、このところのわたくしの生活は、毎日寝っころがっちゃあ本読んじゃあメシ食ちゃあ本読んじゃあ寝ちゃあチョットルクソール宮殿に行って寝ちゃあ本読んじゃあ食っちゃあ寝ちゃあ本読んじゃあ寝ちゃあやっとカルナック神殿に行く。とゆう自堕落を絵に書いたような生活だった。
まぁ、今は長い旅行の最終段階だ。こーゆーノタリクタリの生活も必要なのだろう。心身共に休息した方がいい。そうだ、少なくとも今は罪悪感はいらないのだ。コレでいいのだ！（by バカボンのパパ）
ところで、こーゆーノタクタ生活をしている最中に、この宿に日本の若い旅行者が数人やって来た。なんと彼らは、豪華客船に乗って世界一周してる最中なのだ！
豪華客船？世界一周？何だそれは？ドコの世界の話しだ？
何でも彼らは、今自由行動中でルクソールに遺跡を見に来たそうだ。何でそんな豪華客船グループがこんな安宿に泊まってるんだ？と思ったら、泊まってるんじゃなくて、たんにココの屋上にある食堂にメシを食いに来ただけなのだ（この食堂は、ナンチャッテ日本食が食える）。まーそーだろうなー。豪華客船の人がこんな宿には泊まらんわなー。
ほんで彼らに豪華客船の中の話しとか旅行日程やらを教えてもらった。いや〜〜まるで別世界の話しだわ。
彼らは客船の中でも一番安い部屋に泊まってるらしいが、それでも大金がかかる。中には高校生もいたのだ。どーやって金作ったんだ？聞いたら、親が出してくれたらしい。
な、なんとゆう恵まれた環境なんだ！やっぱり別世界だぞ。もし私が高校生の時に、「おとーちゃん、豪華客船に乗って世界一周したいネン、お金ちょーだい」とか言ったら、「お前はアホか」と言われたであろう。
ほんでその中に女の子がいたのだが、その子に聞かれてしまった。
「ルクソールには長くいるんですね。どの辺の遺跡に行かれましたか？どこが良かったですか？」
「あ、いや、ルクソール神殿だけ」
「え？！ル、ルクソール神殿だけぇ？！そんなに長くいるのに、ルクソール神殿しか行ってないんですかぁ？！」
う〜む、あの子はきっと私のことを、やる気の無い自堕落な中年旅行者だと思ってしまっただろう。ヒジョーに不本意である。
あ、そうそう、カルナック神殿の話しだった。カルナックへはちゃんと行ったのだ。
この神殿は宿から少々遠くて（でも川向こうではない）乗り合いバスに乗って行った。
ここはルクソール神殿とは規模も内容もだいぶ違っていた。モチロン良かったのだ。広さなんかルクソール神殿の３倍以上あるぞ。なのに入場料は同じ値段だった。エジプト人、値段の付け方間違ってるぞ。
遺跡の内容としては、ルクソールもカルナックも同系統の遺跡だ。基本的に建物を見る遺跡なのだ。エドフォのようなレリーフや壁画はあまり無かった。
しかしルクソール神殿に比べたらカルナック神殿の方がよっぽど良かったんだな。時間の関係でどっちか片方しか行けないなら、絶対にカルナック神殿の方がおすすめだ。
ところで、ルクソール神殿のときも思ったのだが、欧米の女性旅行者、この国がイスラム圏だってコトを分かってるのだろうか？服装がとんでもないんだぞ。
ほとんどの女性がハダカ同然なのだ。女の子のヘソ出し率８０％はあるぞ。中にはＴシャツ脱いでブラジャー丸出しの人も何人かいた。ついでにオバチャンもブラジャー丸出しだ（あんたのは見たくない！）。
もしここが日本だったらウハウハで喜んでいただろうが、ここはムスリムの国だ。あんたら分かってるのか？と言いたくなってしまった。
私も偉そうなコトは言えないが、しかし彼女らは、なんとゆうか、傍若無人なのだ。郷に入れば郷に従えって言葉を教えたくなるぞ。頼むから日本の女の子だけはあんな格好しないでおくれよ。
さて、その後も私は相変わらずノタクタしてたのだが、そのノタクタの後でケナとゆう町に出かけた。日帰り旅行だ。ここにはデンデラ神殿とゆうそこそこ有名な遺跡がある。
普通ルクソールからケナまでは電車で行くのだが、待時間とかがあるので私は贅沢にもバスで行った（それでも３ポンドだ）。
到着したケナのバス停（ケナ駅の近く）からデンデラ神殿へは乗り合いバス（セルビスとゆうらしい）を２回乗り換えるのだが、最初のセルビスで料金は１ポンドと言われた。しかしセルビスに乗ってるおっちゃんが「違う違う、本当は２５ピアストルだ」と言ってくれたのだ。おかげで２５ピアストルで乗ることができた。いいねいいね。こーゆーおっちゃんは嬉しいぞ。
ほんで最初は「１ポンドだ」とか言ってきたセルビスのヤツも、いったん乗り込むと態度が変わった。すごく親切になったのだ。「助手席の方が景色が良く見えるぜ」とか言ってわざわざ助手席を空けてくれた。その後もなんやかやと世話を焼いてくれたのだ。
んで、降りるときお金を払おうとしたら、受け取らないのだ。何で？聞いたらさぁ、最初に「２５ピアストルだよ」って教えてくれたおっちゃんが払ってくれたそうなのだ。なんだよー、おっちゃんは先に降りちゃったからお礼が言えなかったじゃないか。セルビスの運ちゃんも、次に乗り換えるセルビスの場所や料金まで教えてくれた。なんだよー、エジプト人、いいヤツ多いじゃないか。
いい気持ちで次のセルビスに乗ると、「料金は１０ポンドだ！」と言われてしまった。おいおいおい、いくらなんでもボリすぎだろ！さっき聞いて私は知ってるぞ。このセルビスも本当は２５ピアストルなんだろ。
しかし今度のヤツはガンとして譲ろうとしない。最終的に「１ポンドにまけてやるよ」とか言いやがった。まけてやるよだとぉー、コンチクショー！だれがテメェのセルビスなんかに乗るかよー！意地でも歩いて行ってやる！
しかしこっからデンデラまでが遠かった。大きな川を渡ってずーっと行って右手を曲がると、長い長い一本道が続く。・・・この道をまだ歩くのかー。
しばらくぼうぜんとしてたら、コーラ満載のトラックが横に止まった。「おーい、どこまで行くんだー。乗れ乗れ」とか言ってるみたいだ。はいはいはい乗せてちょうだい！助かったよ。
このトラックの人達はまぁーったく英語ができなかったが、なんか訳の分からん会話ができて楽しかったぞ。ミョーに陽気な兄ちゃん達だった。この車で遺跡まで１ｋｍの場所まで乗せてもらった。セルビスもここまでしか行かないらしい。こっからは歩きだ。
ほんでさぁ、こっから遺跡までの道が良かったのだ。
景色が畑や田んぼの多い田舎の景色で気持ちよくリラックスして歩けた。さっきのトラック兄ちゃん達のおかげで気分だって良かったんだ。そして、ここの人達がいい感じの人達ばっかりだったのだ。
通りの家の子供や畑耕してる人が、すごく人なつっこい笑顔で手を振ってくれる。警察官まで鉄砲担いで手を振ってくれるんだ。嬉しくなっちゃうぞ。他の警官なんか、用も無いのにわざわざ近寄ってくれて話しかけてくれるんだ。英語なんて全然話せない人なんだぞ。ホント嬉しくなっちゃったぞ。
なんか、久々にちゃんと笑っている私がいた。そー言えば、私は旅行中いっつもこんな感じで笑っていたのだ。エチオピア以降、笑ってたつもりでも、ちゃんと笑えていなかったのだ。そーなんだ、私はいつもこんな感じで笑ってたんだ。やっと思い出したよ。・・・嬉しかった。
宿でノタクタしてたのが無駄じゃなかったんだろうな。ちゃんと笑えるように、心が、体が、休憩を求めていたんだろう。無理をせず、心と体のなすがままに、ノタクタしててよかった。・・・なんか、やっとこさエチオピアの呪縛から逃れられたみたいだ。
さて遺跡だ！このいい気分のまんま遺跡見物だ！
ほんでこのデンデラの遺跡、いやいやいや、実にいいぞ。広い敷地に建物が点在していて、建物もいいしレリーフもイッパイ彫られているのだ。
このデンデラ遺跡の目玉は『クレオパトラのレリーフ』ってやつだ。モチロン見ましたよ。
これがクレオパトラレリーフの写真です。確かにいいです。・・・でもね、せっかくのレリーフが、所々削られていたのだ。ほんで、その他の数多くあるレリーフも、ほとんどが顔を削られていた。なんだかなー。ものすごくもったいない。
ここには人の形のレリーフがものすごく多いのだが、そのことごとくが削られてしまっているのだ。なんでこんなことするかなー。悲しくなるぞ。せっかくの膨大な数のレリーフが台なしだよ。もし全部無傷だったら、どれほど素晴らしかっただろうか。
こんな感じで顔が無残に削られている。写真では分かりにくいが、顔のところがノミで削ったかのようにデコボコになっている。
これを壊し続けた人は、どんな気持ちで壊したのだろう？やっぱり悲しいぞ。色々と理屈はあるのだろうが、結局はエゴでしかないと私は思うぞ。
唯一の救いは、地下室のレリーフがキレイに残っていたことだ。このデンデラにはかなり大規模な（でも通路は狭い）地下室があるのだが、その地下室の壁一面にもレリーフが彫られていた。係りの人に頼んで明かりを点けてもらって見たのだが、いや面白かったぞ。すごかったぞ。
この地下レリーフの中には、私の知ってるヤツもあった。前にテレビで見たことのある電球のレリーフだ。こんな時代に電球があるはずはないのだが、どー見ても電球にしか見えないあの絵だ。あれまぁ、こんな所にあったのね。ひょっとしたら宇宙船内部の絵もここにあるのかな？と思って探したけど、それは見つからなかった。
ほんでこれがその電球のレリーフです。
斜めから写したので分かりにくいけど、あのビヨーんとなってるのが電球の様に見えるのだ。けっしてチ○ポではないぞ。
これもなんか見方によっては宇宙船の座席に見えなくもない。
かぶってるのは王冠のようにも見えるが、宇宙服のマスクって言われりゃあそう見えるじゃん。
この遺跡はけっこう広くて色々な種類の見所があって、いつまでいてもあきなかった。屋上からの眺めも良かったのだ。
とゆうことで、ほかの写真を数点。
外っ側の柱にもレリーフが彫られている。壁とゆう壁に彫られているのだ。
ただ、どれもこれも顔が削られている！！ホント悔しい！！
これは内部の天井です。天井一面に絵が描かれている。
目が悪くてはっきり見えないのだ。望遠レンズも無いので大きく写せないのだ。
地下の壁画の一つ。
こうゆうの、結構好きです。
いやいやいや、このデンデラ遺跡、大満足だよ。
帰りは、最初のセルビスを降りた場所までノンビリ歩くことにした。だってさぁ、歩くと色んな人に声をかけられて気持ちが良かったんだもん。道端に座って休んでると人が寄ってきて話しかけてくれるんだもん。タクシー関係以外の人は全員いい感じだぞー。
なんかさー、やっぱり嬉しくなるのだ。いいー気持ちのまんまセルビスに乗って駅まで行こう。帰りは電車だ。
セルビスの運ちゃんは当然のように「１ポンドだぁー」とか言うが、気にせず２５ピアストルを出してそのまま乗ってしまった。ほんでいったん乗るとさぁ、もう何にも追及しなくて親切になるんだ。なんだよー、オメェもやっぱりいいやつジャンか。なんか嬉しくなっちゃうぞ。
それで、駅に着いたのはいいんだが、駅員がみんな英語が喋れないのだ。なもんだから、私ゃ切符が買えないのだ。全然分かってくれないのだ。
だけど、色んな人が世話してくれた。英語が喋れる人までどこからか連れて来てくれたのだ。でもその人も英語がしゃべれなかった。んで、こんどこそ英語が喋れる人んところに連れてってもらったらその人も喋れなくてすったもんだであっちこっちでやっとこさ切符が買えた。ついでに学生証出して学割料金５５ピアストルだ。
やっとのことで買えて嬉しくて、世話してくれた人や駅員さんと握手大会だよ。いーないーな。何か今日は気持ちいいぞ。
ルクソール駅に戻ってきて宿に帰る途中、私はたぶんニコニコしてたのだろう。水パイプ吸ってるおっちゃんに「ヘ〜イ、ハッピーマ〜ン」とか声をかけられてしまった。
よかった。よかったよー。やっと元の自分に戻れたみたいだ。
