さてエチオピア、これから色んなことが待ってるとゆうのに、入国手続きはいたって簡単であった。と、ゆうことで、　

　ここの国境、すごくいい景色だった。緑に囲まれてなかなかの眺なのだ。イミグレを出てちょこっと歩いたところから振り返った景色がよくてしばらく眺めていた。

　これがエチオピアから眺めた国境なんだけど、真ん中にある踏み切りみたいなのを抜けるとケニアだ。

　いっつも開きっ放しなんだけど。

　さてと、では、少し町を歩きながら宿でも探そう。エチオピアに行った人から色々と聞いていたのだが、エチオピアでは宿探しに困ることはまず無い、と言うことだった。

　エチオピアの町にはいたる所にブンナベットとゆう安宿があるのだ。ブンナ＝コーヒー、ベット＝部屋、ってゆう意味らしい。コーヒー飲ませてくれる所（喫茶店、なんて上等なものじゃない）が宿屋を兼用しているのだ。しかし、実際はコーヒー屋とゆうよりは完全に飲み屋のバーらしい。ブンナベットと言うよりバーベットって言った方が正確じゃないか？とか言う人もいた。

　で、そーゆーつもりで歩いていると、確かにこの小さな町にもバーが何軒もあった。あそこが全部宿屋になってるのだろうか？こりゃホントに宿探しに苦労はなさそうだ。

　しかし、それ以外に少し驚いたことがあった。エチオピアの皆さん、みんなニコニコしてるのだ。オーストラリア美人姉ちゃん以外の人は、「エチオピア、人悪すぎ！」とか言っていたが、そんなコトないよなー。こんなニコニコ顔の人らが「悪すぎ！」なんてことはないよな。

　その国の評価は、旅行する人によってガラっと変わる。「あの国最高ーーっ！」って人もいれば、同じ国なのに「あんな最低な国はない！」って言う人もいる。特に、ちょっとクセのある国なんかはその評価がえらく違うことがあるのだ。エチオピアもそーゆー国の一つなのだろうか？ま、何日か滞在すればちゃんと分かってくるだろう。

　とりあえず適当なバーに入ってチェックイン。宿代は１２ブルだった。なんぎなコトに、１ブルが何ドルだかあんまり分かっていない。後で銀行行って両替しなきゃ。だけどもう５時ぐらいだよな。銀行閉まってるよな。しかたないので近所まわりの人に聞いてスズメの涙程度に残っているケニアシリングをエチオピアブルに両替してもらった。１ブルが９.４シリングだった。どんぶり勘定で１ドルが８ブルぐらいかな？両替したのは２ドル分ぐらいだったので１ブル９シリングにさせられちゃったけど、まあ今日はそれでなんとかなるだろう。幸いに宿代は後払いだ。

　とゆうことで、まずはバーでコーヒーを飲もう。実はエチオピア、食い物の評判はすこぶる悪いのだが、コーヒーだけはメチャクチャウマイらしいのだ。しかもメチャクチャ安いらしい。

　んで宿でコーヒー飲ませてもらったけど、確かに安い。正確には忘れちゃったけど、１ブルぐらいじゃなかっただろうか。少々小さめのカップに泡立てたコーヒーが出てきた。んで、ウマイ！いやウマイ！ちょっと濃い目のコーヒーだけどウマイ！おもわずお代わりしちゃったよ。こんなウマイコーヒーはマダガスカル以来だね。いやこんなコーヒーが毎日飲めるならエチオピア好きになっちゃうぞ。

　よし、この町の散歩は明日にまわして今日は早いとこ寝よう。なんたって二日連続の早朝起きで眠たくてしょうがない。今日はゆっくり休もう。

　・・・クークークー。グーグーガーガー。

　ブンチャカバンバンピッピキャパーパーフニャラカパッパラパーッ！！

　な、なんだぁ、なんだこの大騒音は？！

　夜、とんでもない大音響で目が覚めてしまった。どうやらバーから流れてる音楽らしい。昼間にも音楽はかかってたが、昼間とは比べ物にならないぐらいの大音響だ。こんなにやかましかったらとてもじゃないが寝れないぞ。宿のスタッフにどなってしまったよ。

「なんじゃこの大音響は！ココ宿屋やろ、客が寝られへんヤンケ！！」

「問題無いよ、いい音楽じゃないか。お前もバーで飲みなよ。楽しいぞ」

　は、話しにならんわ、泊まり客をなんやと思っとるんや。こんなヤカマシイ宿出てったる。明日んなったらもっと静かな宿に変わったるわ、ホンマにもう！

　部屋に戻って毛布かぶって寝ようとしたが、とてもじゃないが寝れるようなもんじゃない。まったく、バーの客が大事なのか泊まり客が大事なのか全然分かってないじゃないか！あーームカツク！！くっそう！こうなったらオレも飲んでやる！！エチオピア人にばっかり楽しい思いさせてたまるか！！

　むかつきながら店まで出てった。けっこう客が入ってるよ。昼間はそんなに客がいなかったけど、夜の部は大繁盛だな。よっしゃ、ビールでも飲むか！

　このバーにはビンビールと生ビールがある。ビンビールは少し高いが生ビールは安い！また正確には忘れちゃったけど、たぶん２〜３０円ぐらいだった。とーぜん生ビールですよ。日本でゆう小ジョッキのちょっと大きめのヤツですが、頼みました。んで飲みました。ウマイ！！！いっやーー久々の生ビール、ウマイ！！安いから何杯でもお代わりできるぞ！

　ビール飲んでる分には大音響の音楽だって悪かない。悪かないどころか、エチオピアの音楽、なかないいのだ。エチオピア歌謡曲って感じだが、なんとゆうか、すこうし不思議なメロディーなのだ。なんか日本の歌に近いメロディーだ。

　エチオピア旅行中、このエチオピア歌謡曲をイヤとゆうほど聞かされた。各町のバーはモチロン、移動中のバスの中でもガンガンかかっていた。んで、なんか私気に入っちゃたのだ。特に何とかさんってゆう女性歌手（あーー、名前忘れちゃった！）、すごくいい歌を歌う。どことなく宇多田ヒカルに似てるのだ。エチオピアでもかなりの人気歌手らしい。私はこの人のＣＤを買うつもりだったのだが、結局買うのを忘れてしまった。あ゛ーーーもったいない！！ホントにいい歌だったんだ！！

　で、まあそーやって飲んでると、ほかの国の飲み屋とちょっと違うことに気がついた。ほかの国の飲み屋では飲んでる客は男ばっかりなんだが、この飲み屋、女の子もけっこう飲んでるのだ。

　で、その女の子たちが、どーも私を気にしている（ような気がする）。「こ、こんばんはぁ〜」よっぱらってるのもあるんだけど声かけちゃったよ。

「ハロ〜、どこから来たの？日本人？」

　いや〜、お姉ちゃん達がよってくるよってくる。なんか取り囲まれちゃったよ。なに？私ってモテモテ？残念ながらよってきたお姉ちゃんは、なんとゆうか、あまり美しい方々ではなかったが、しかしスゴクあいきょうがあるお姉ちゃん達だ。

　あっちの方にさぁ、遠目に見てもキレイなお姉ちゃんが二人ほどいるんだけど、あのお姉ちゃん達はよってきてくれないのかな？

「こ、こんばんはぁ〜」

　・・・無視されてしまった。

「ちょっとぉー、あたし達と話ししてるんでしょ」

　あん、こっちのお姉ちゃんに怒られてしまったよ。しかたない、コッチのお姉ちゃん達と我慢して、違う違う違う楽しんでお話ししよう。

　んで色々話し出したのだが、ここのヨッパライ姉ちゃん達、なんか気のいい姉ちゃん達だよ。ヤッパ女の子は見てくれよりあいきょうだね。なんか楽しいぞ！どさくさにまぎれて手ぇなんか握ったりなんかもしちゃったりなんかしちゃったりエチオピアの言葉なんかも色々教えてもらったよ。

　実はエチオピアの人達、ほっとんどの人が英語が話せないのだ。でもさすがに国境のこの町では英語が話せる人が多かった。そんな中で、連日ここで教えてもらった（特に女の子達に）エチオピア語は、その後のエチオピア旅行ですんごい役に立った。こんにちはーとかありがとうとかおいしいキレイこれいくら？とかの単純な言葉だけど、ホントに役に立ったのだ。

　そんなこんなでさぁ、なんかさぁ、女の子に囲まれてお酒飲むってのはやっぱり楽しいよ。国境のオーストラリア美人ねえちゃんといいこの人達といい、よーやっと私にも遅めの春が来たのかな？よっしゃあー！今晩は飲み明かすかぁ！

　ちょっとちょっと、これから盛り上がろうって時になんで音楽止めるのさ。おいおいおい、なにイス片づけてるのさ。え？なに？もう店仕舞い？ちょっとー、これからって時でしょ、今何時？え、１１時？まだ宵の口じゃないか！夜はこれからだろーが！まだ飲み足りないぞ、しゃべり足りないぞ。

　店のお兄ちゃん、気にせずにニコニコ笑って片づけしてるよ。なんかこの店は毎晩１１時には店閉めるんだって。「だって泊まるお客さんが寝れないでしょ」とか言っている。そりゃまぁそーだけどさー。まーしかたないわなー。明日もあるし、今日はこの辺で寝るか。

　そして音楽が止まってしまうと、やっかましくて寝れなかったのがウソのように静かになった。シーンとしている。毎晩１１時にこんだけ静かになるのなら、この宿でなんも問題無いな。当分この宿でお世話になろう。

　翌日、久々に熟睡して気持ちよく目が覚めた。朝一番で水シャワーあびてさっぱりして、さあ！朝メシ食うか！！

　朝メシ、いっちょ挑戦してみるかな、インジャラを。

　かなり多くの旅行者が「あれはマズイよ〜」と言っていたインジャラ。いったいどんな味なんだろう。宿の近くのメシ屋でインジャラを注文してみた。インジャラに添えるオカズは何種類かあるようなので、とりあえず肉炒め（らしき物）を注文した。

　注文して数分後、店の人が大きな洗面器に乗せてインジャラを持ってきた。本当はお盆なのだが、洗面器にしか見えないぞ。そして洗面器の中には、雑巾が入っていた！ゾウキンだぞゾウキン。あの掃除用具のゾウキンだ！そしてそのゾウキンの上に肉炒めが乗せてあった。

　お前、店員、こら小僧！やるに事欠いてゾウキンの上に食い物乗せるこたぁないだろう！何考えてんだ！もっと清潔な物に・・・ん？ひょ、ひょっとして、まさか、これはゾウキンじゃなくてインジャラ？

　そうだった。私がゾウキンだと思った物は、実はこれがインジャラだったのだ。し、しかし、どー見てもゾウキンにしか見えないのだが。色といい形といい、まさしくゾウキンなのだ。

　冷静になって子細に眺めてみると、ゾウキンではないことが分かってくる。形と手触りは、崩れてひしゃげた巨大クレープのようだ。そして色は、くすんだ灰色。これだけは正しくゾウキン色だ。汚れきったゾウキン色としか表現できないぞ。なあエチオピア人、食いもんなんだからさぁ、もうちょっと色使いに気を使えよ。合成着色料入れろとは言わないけど、なにもゾウキン色にしなくてもいいと思うのだが。

　と、とりあえず食ってみるか。食わなきゃ始まらないよな。

　食べ方としては、インジャラでオカズを包んで食べるんだけど、一口食べると・・・すっぱぁ〜い。スゴクすっぱい。メチャクチャすっぱい。んでマズイ。なんなんだこのすっぱさは。

　食べた感じはクレープみたいなのだが、めったやたらとすっぱい。何だこれは？クレープの酢漬けか？

　『ゾウキン色したすっぱいクレープ』インジャラを表現するにはこの言葉がピッタリだと思う。これからずっとこのゾウキンすっぱいクレープを食わなきゃいけないんだろうか？ものすごく不安だぞ。

　インジャラはマズイのだがオカズはおいしかった。いい感じの塩味で辛くもなく（エチオピア料理は辛いとゆう噂だった）日本人好みの味付けじゃないだろうか。しかし、いかんせんインジャラがすっぱすぎるので、一緒に食うとインジャラのすっぱさばっかり感じるのだ。せっかくのおいしいオカズがインジャラのせいで台無しだぞ。

　オーストラリアのお姉ちゃんは「最初はまずいけど食べ続ければおいしくなる」って言ってたけど、本当にそんなことがありえるんだろうか？なんか想像しにくいぞ。

　結局、オカズは全部食ったがインジャラは残してしまった。もともとインジャラはデッカイ洗面器からはみ出すぐらい大きいのだ。残念ながら、この大量のインジャラを全部食いつくす根性は私には無かった。

　口直しをしよう。口の中のすっぱさをなんとかしよう。そうだ、ちまきを食おう！

　評判の良くないエチオピア料理の中で、唯一旅行者から評判のいい料理がある。それが『ちまき』だ。料理とゆうかデザートとゆうかジュースの一種なのだが、どうもちゃんとした説明をしてくれる人がいなかった。こってりしたジュースだとかスプーンで“食べる”ジュースだとかあれはジュースなんかじゃないだとか、あんまり要領を得ないのだ。

　で、とりあえず近くのフルーツパーラー（ってそんなしゃれたもんじゃないが）に行ってチマキを注文した。色んな種類があるのだが、とりあえずマンゴーを注文したのだ。

　で、出てきました。大きめのカップになみなみとつがれたマンゴーチマキが。カップの横にはスプーンが置かれていた。

　さて、チマキ。これを説明するのはやっぱり難しい。なんとも形容しがたいのだ。

　とりあえずこれはジュースじゃない。こんなものストローで飲むのは至難のワザだ。なんとゆうか、ドロドロしてる。とゆうか弾力があるとゆうか柔らかめのプリン？柔らかめのゼリー？ヤッパちょっと違うな。

　とりあえずスプーンですくって食べる。・・・ウマイ！けっこう濃厚な味だ。しかも冷えてる。こりゃ気に入っちゃったよ。このチマキはほかの町でもイッパイ食べたけど、エチオピアでお気に入りの食べ物（飲み物？）になってしまった。

　あやふやな説明でいったいチマキがどんなもんだか理解できないと思うんだけど、ウマイのは確かだ。エチオピアへ行く機会があったら試してみてくれぇい！

　ほんでねぇ、この町ねぇ、あ、モヤレってゆうんだけど、なんかいいわー。特に何があるってわけじゃないんだけど、ノンビリしてすごく居心地がいい町なのだ。町の人もいい感じだし飲み屋の姉ちゃん達もいい感じだ。

　なぜか思いっきりおめかししてる子供達。

　今日はお祭り？

　あ、それから、何日かあの宿に泊まって気がついたのだが、どーやらあのお姉ちゃん達はお客じゃないみたいなんだ。バーの従業員みたいなのだ。いつも同じ顔ぶれにしか会わないから変だなーとは思ってたんだけど、そーゆーわけだったんだ。しかも、どーやらあのお姉さん達は、春を売るお姉さん達のようなのだ。

　あれまぁ、そーなのか。おかしいとは思ったんだよな、私がそんなに女の子にモテるわけないもんな。しかし、その手のお姉さんにしかモテないってのは、それはそれで悲しくも切ない真実ではあるのだが。

　せっかくなので（何がせっかくなんだか）ほかの店でも飲むことにした。けっこう人がゾロゾロ歩いてる夜の道を、ほかの飲み屋探してうろついてたんだけど、いきなりすれちがいざま「ファックユー！！」とか怒鳴られてしまった。

　何だ何だ？オレが何した？ただ歩いてただけだぞ。いったい誰が怒鳴ったんだか分からなかったけど、声からしてどーも若造みたいだ。なんなんだ？

　ケニアの町で「ファックユー」って言ったのは子供だった。子供だからわけも分からず言ったのかもしれないが、今度は子供じゃないぞ。意味分かってるはずだぞ、何考えてんだ？アホとちゃうか。

　しかし、まあ、夜はあんまりうろつくな、ってことかな？とりあえず宿に帰ってなじみのお姉ちゃん達と飲むか。

　さて、予定外に長居してしまったモヤレだが、明日次の町に移動しよう。次はアワサって町だ。バス停の兄ちゃんに聞いたら、アワサ行きのバスは早朝の５時に出るらしい。とゆうことは、遅くとも４時には起きなきゃダメだな。今日は早めに寝なくっちゃあ。

　早めに寝るつもりで宿に帰ったら、どーもバーの様子がいつもと違う。なんか、やたらめったらビールの空きビンが転がってるのだ。スゴイ量だぞ。しかも、男の従業員まで飲んでるみたいだ。女の子は客のおごりで良く飲んでるのだが、男の従業員まで何でこんなに飲んでるんだ？

　気持ちよさそうにヨッパラってる兄ちゃんにちょっと聞いてみた。ヨッパラってるんで、もひとつ要領を得ないのだが、どーもこーゆーわけらしい。

『ビール会社の販売員がやって来て、会社のなんたらかんたらどーだらこーだらで、お祝いのビールをケースに山盛り置いてったのだぁーー！』

　えーと、詳しい内容はともかく、今晩はビールを何本飲もうがタダらしい！！

　こんな千載一隅のチャンスの日に、ベッドでグースカ寝てるようなヤツは人間じゃない！これは閉店まで飲み続けなければ！！

　えーえーえー、飲みましたよ。自分でも何本飲んだのか分からないぐらい飲みましたよ。だって、コップのビール飲み終わらないうちにドンドコ注いでくるんだもん。そりゃ飲まなきゃ悪いでしょう。当然ながらベロンベロンになってしまった。最後の方はもうわけ分からん状態だ。いいのか？明日は４時起きだぞ。大丈夫か？