エチオピア人、いいヤツじゃん

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　とゆうわけで、到着しましたジワイの町に。

　この町、特になんにもない町だった。たんなる交通の要所って感じの町だ。ま、食堂やみやげ物屋さん（地元の人用？）はイッパイあったけど。だけどそのかわり、ノンビリしてていい雰囲気の町だ。町の人もすんごい友好的だった。道歩くとあっちこっちから声がかかってきた。コーヒーセレモニーにも何軒もお呼ばれされてしまったよ。

　ここの子供達もカワイイんだよ。私にすんごい興味があるんだけど、恥ずかしいからなかなか近づけないのだ。私の方から近づくとニッコニコはしゃぎながら逃げちゃうし。コーヒーいただいてるときも柱の影からじっと見たりしてるんだ。カワイイんだぞ。

　それから、みやげ物屋のおっちゃんが、なんかカンフーを習ってるらしく（ドコで習ってるんだ？）「カンフー技を見せてみろ！」とか言われてしまった。あいにく私ゃカンフーじゃなくて柔道なのだ。なぜか道端で即席のカンフー＆柔道教室が開かれてしまった。人がイッパイ集まってきて恥ずかしいじゃないか！

　夜は夜で偶然入ったバーでエチオピアの若者旅行者達に会ってしまった。男女６人ぐらいのグループで、いま国内旅行の最中だとか。明後日ウォンドゲネットに行くんだって。

　最初は私一人で隅の方で飲んでたんだけど、途中からこのグループに誘われちゃったんだ。「このインジャラ食え、ゼヒ食え！」って感じで。大人数だったので大量のインジャラがあった。こんなにあるんならチョットぐらい食っても大丈夫かな？

　このインジャラ、量もスゴイが種類もイッパイだった。まだ私が食ったことが無いインジャラもイッパイあった（食ったことが無いインジャラとゆうより食ったことが無いオカズなんだが）。

　んで、このオカズがすごくウマイ！こんなウマイオカズもあったのだ。しかもインジャラ自体もけっこうウマイぞ。なんだかんだで、私けっこう食べてしまったんじゃないか？

　んでね、このグループの女の子、なかなかカワイイのだ。おぢさんチョット嬉しいぞ。酔っ払ってたからだろうが、グループの男の子が「どの女の子が好み？一緒にベッドへ行ってもいいよ」とか言い出した。ホ、ホントか！？いや、その、それはあのその・・・。

　バッチーン！！それを聞いてた女の子がおもいっきり男の子の腕をひっぱたいた。「わけの分からんコトゆーてたらドタマかち割るぞぉー！」エチオピア語だったけど、きっとこんな風に言ったんだろう。

　あのねぇ、冗談でもそんなコト言うなよー。私ゃ真剣に考えてしまったじゃないか。

　けっこう長時間飲み食いしてしまった。当然私はインジャラのお金を払うつもりだった。だってそれだけ食ったから。全部じゃなくて自分が食った分ぐらいの金を払うつもりだった。だけどみんな金を受け取ろうとしないのだ。一人だけ酔っ払った女の子が「何でだよーあいつ金持ちなんだからさー、金出させろよー」と半分英語半分エチオピア語でわめいていた。

　いや、その、だから、私払うって。

　しかし、結局彼らはお金を受け取らなかった（当然自分が飲んだビール代は払ったよ）。いやありがとうねー。帰りがけなんか「もう遅いから早くホテルに帰った方がいいよ」なんてコトを言ってくれたりもしたんだ。

　いやーー、できた若者だねー。ファックユーの若造たちに爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいよ。

　しかし、この町には大きな欠点があった。それは『水』だ。この町の水、なんか知んないけど、やたらめったらカビ臭いのだ。

　最初ホテルでシャワーを浴びたとき、シャワーの水がおもいっきりカビ臭かった。長い時間出しっぱなしにしてもカビ臭さが消えない。仕方ないのでそのまま浴びたが、全身カビ臭くなって気持ち悪かったぞ。

　それからレストランでメシ食ったときだ。そこのメシはなかなかウマかった。しかし、ウマイのはウマイのだが、辛さが尋常じゃなかった。あわてて店員に水を頼んで一気に半分ほど飲み干した。そしたら、その水がおもいっきりカビ臭い！！

　フンギャー！！臭い気持ち悪い臭い気持ち悪い！ウワッもうクワッい゛ーー！私はコップ持ったまましばらく踊っていたよ。いや気持ち悪い。兄ちゃんに言ってあわててジュース頼んだが、いや、まあ、ホント気持ち悪かった。

　と、ゆうことで、気持ちいいがカビ臭いジワイの町を後にして、ナザレットとゆう町に移動した。

　私はこの辺でエチオピアの道路事情がだんだん分かってきた。私はここまで国境の町から首都のアジスアベバに向かって北上してるのだが、国境からアジスアベバへの幹線道路はキレイに舗装されてすごく快適なのだが、いったん幹線道路を外れると極端に道が悪くなってしまう。どうもキレイなのは幹線道路だけみたいだ。

　そんな快適な幹線道路を進み、そこから外れてデコボコ道をしばらく走った後、ナザレットの町に到着した。

　この町、特に何があるってわけじゃないんだが、私、かなり気に入ってしまった。町自体がかなり大きくて広いのだ。場所場所によって色んな顔を見せてくれる。

　町の中心は小洒落た店が多くてあか抜けてるし、少し奥に行けば小汚い怪しいブロックがあり、もーちょっと行けば田舎っぽいノンビリした感じだし、もっと奥に行けば緑が多いもっともっとノンビリした感じの場所がある。なんか散歩してても全然飽きないのだ。

　私は町の中心から少し外れたノンビリした場所に宿を取った。そしてこの宿、なっかなか面白い宿だった。

　まずねぇ、掃除のおばちゃん！私このおばちゃんが大好きになった。なんたっていい顔してるんだ！いっつも顔をしわくちゃにして笑っている。このおばちゃん英語がまったく喋れないのだが、そんなもんだから完全にパントマイムで私と会話する。いっさい言葉を発しないのだ。もうこれでもかってゆうぐらい表情を替えておもいっきりの身振り手振りのパントマイムだ。そしてその表情が笑ってしまう。あんたどーやったらそんな表情が出来るのさ！ってゆうぐらいのユカイな表情をするんだ。もう私このおばちゃんと話しするときはいっつも途中で笑ってしまうんだ。

　んでこの宿には高校生の娘がいるんだけど、この子がカワイイのだ。少々こまっしゃくれているけど、なかなかの愛敬があるぞ。いつも私を見ると「コシャシャ、コシャシャ」って言ってくれる。

　コシャシャ？いったいどんな意味だろう？きっと「あなたって素敵だわ」ってな意味かな？宿のおばちゃんにコシャシャの意味を聞いてみた。

「コシャシャ？あーそれはね、『汚い』ってゆう意味よ」

　ふ～ん、汚いって意味なのか。

　・・・こ、こーの小娘がーーっ！それを聞いた瞬間この小娘を追いかけ回したのは言うまでもない。このこまっしゃくれ小娘がー！日本人なめとったらいてこますぞぉー！

　そして当然この宿にも春を売るお姉さん方がいる。しかもこのお姉さん方はここに住み込みで働いている。だから昼間はよく私と遊んでくれるのだ。

　しかし悲しいかな、このお姉さん方は、そろいもそろって、その、何とゆうか、あまり美しくないのだ。はっきり言うと、ブサイクな方々なのだ。私は思ったよ、この店も大変だよなぁ。こーまであからさまに美しくない方々が揃ってたら、商売あがったりだよなー。

　ところが、私は驚いてしまった。驚愕と言ってもいいほど驚いてしまった。

　昼間は小汚いかっこうしている彼女達だったが、夜が近づくに連れてご出勤の準備をするのだ。キレイな服に着替えてそれぞれが化粧をやりだす。す、すると、昼間はブサイクだった人達が、段々と夜の蝶に変身していくのだ！そして、変身が全て完了してしまうと、みなさん、キレイなお姉さんになってしまった！！

　なんてこった、女の子ってゆうのは化粧でここまで化けてしまうのだ！さすがに大美人には変身できないが、充分に見られる顔になっている。薄暗い店内で見た場合は絶対に騙されてしまうだろう。お、恐るべし化粧術！

　いやぁー、これはいい人生勉強をさせてもらった。今までも飲み屋さんで、いやー美人だなーと思ってしまっていたが、あれも半分以上は化粧のなせる技だったのかもしれない。う～ん、これから女の子を見る目が変わってしまいそうだ。

　それからねぇ、この町には高校があるのだが（宿のこまっしゃくれ小娘もこの高校に通っている）この高校生たちがなんかいいんだ。下校時なんかでこの高校生団体をよく見かけたんだが、みんないい子達だよ。私に会うとみんな照れくさそうにニコニコ笑って私を見てくれる。私が手なんか振ったら嬉しそうに手を振ってくれるんだ。なんか優しい気持ちになってしまうぞ。

　それからこの町のメシ、ウマイのだ。オカズもうまいが（ただしムッチャ辛い）インジャラがウマかった！ここのインジャラはそんなに酸っぱくないんだ。しかもフワフワしててかなりウマイ。こんなインジャラだったらいくらでも食えそうだ。

　しかし、そーして安心していると落とし穴が待っていた。この町でゲリをしてしまったのだ。

　それもそーとーなゲリだ。いや久しぶりですよこんなゲリしたのは。日に何回もトイレに行ってしまう。遠出の散歩が出来なくなってしまったよ。きっとあの辛すぎるオカズが原因なのだろう。しかし、辛くない食い物を食おうにも、ここにはそんな物は無い！どうしよう、ここにいるかぎりいつまでたってもゲリが治らないような気がする。

　この町の後、私はハラルへ行くつもりなのだが、ここからハラルまでは１２時間ぐらいかかる。１２時間もの長丁場、トイレを我慢するのは不可能だ。ど、どうする？

　結局私は、ハラル行きをいったんあきらめて、先にアジスアベバに行くことにした。ここからアジスまでは２時間ぐらいで行ける。たった２時間なら何とかなるだろう。それに、首都のアジスに行けば、辛くない料理も食えるはずだ。ガイドブックには中華料理屋さんがあると書いてあった。

　中華料理。く、食いたい！いまこそあの胃に優しい中華料理を食うべきだ！

　とゆうことで、チョット後ろ髪引かれながらも私はアジスへ向かうことにした。ハラルは体調が戻ってから行くことにしよう。

　バス停からミニバスに乗ってアジスに向かった。念のため朝メシは食わず（腹減ったぞ）朝のバスに望んだ。し、しかし、アジスまでの２時間、私は持たなかった。

　ダメ、もうアカン。まだ１時間ぐらいしかたってない。ヤバイ。運ちゃんに次の町を聞くと次はデゼブレイトとゆう町らしい。そこ知ってる！ガイドブックにもなんか書いてあった！降りる！ワシそこで降りる！降ろしてんか！

　バスを走らせながら目は宿を探す。降りたはいいが宿探しに時間がかかってタイムリミットにでもなったら目も当てられない。あった！なんか宿の看板が出てる！ちょっと高級そうだがかまうもんか！「運ちゃん降ろして！！ここ！！ここで降ろして！！」

　バスを降りて急いで看板のところへ行く。看板はあるが宿が無い！！どこや！この看板の宿はドコや！！あ、ちょっと道入ったトコか！あそこか！あそこや！

　値段交渉もそこそこに（意外と高くなかった）さっそく部屋に入った。トイレ直行だ！宿の兄ちゃんは変な顔してただろうけど、かまうもんか、こっちはエマージェンシー状態だ。

　・・・ふーーー。しかしなんだな、これは本格的にやばいな。全然良くならないぞ。私、実は薬がキライなのだ。日本はモチロン海外でも薬はめったに飲まない。いよいよ危ない、ってときにやっと飲むぐらいだ。そして、この状態はいよいよヤバイ。一段落したら宿の兄ちゃんに聞いて薬屋に行こう。

　そして、その日の夜、この旅行で最大のピンチがやって来た。

　この宿は、エチオピアでは珍しく春を売るお姉さんのいない宿だった。あまり出歩けない私は、その日ほとんどこの宿の中ですごしていた。そして夜、庭のテーブルに座ってコーヒーを飲んでいると、一組のエチオピアンカップルが私のテーブルにやって来た。

　男はともかく、女の子が、メッチャクチャ、とびっきり、とてつもない美少女だった。はっきり言ってメチャクチャ私好みなのだ。小柄できゃしゃでキュートで小悪魔的で、私はチョット見とれてしまった。なんでこんな男にこんな子がくっ付いてくるんだ？世の中不公平だぞ。

　こいつらは、あ、いや、この人達は車で旅行中なんだって。いいねぇ、こんな子を連れてドライブなんて、うらやましいったりゃありゃしない。ほんで、またまた驚いたのだが、この女の子、こいつの、あ、いや、この男の彼女じゃないんだそうだ。なんと、この子は売春婦なのだ！！

　う、うっそぉー！？信じられへん！？こんな子が売春婦なの？

　こいつは（もうこいつでいいのだ）、この子と何日間か契約し、一緒に旅行し、その、なんとゆうか、夜も共にしてるそうなのだ。そしてこのバカ、とんでもないことを言い出した。

「今晩この子を貸してやろうか？一晩○○ブルでいいぞ」

　だ、な、ば、ぼびゃ、べ、お、お前なんちゅうコトゆーんや！

　したら女の子が私に擦り寄ってきた！手、手ぇなんか握られてしまった！

「あなた日本人？素敵ね。うっふ～ん」

　あの、その、べびゃ、ぼぎょ、ばびょ、

「オレはかまわないぜ。この子が君と寝たいって言うんだ」

　わたくし、正直言いますと、そのとき頭が真っ白になってしいました。こーゆーのを千載一隅のチャンスとでも言うのだろうか？で、でも、私、今私のこの状態ではそーゆー行為は不可能に近いぞ。そーゆー状態になったときに「あ、ちょっと待ってね。ちょっとトイレ」ドバババドバッ！ブリブリッ！なんてコトになったらムードもへったくれも無くなってしまうぞ。なんかこの状態ですでに便意までもようしてきてしまったぞ。

「ねぇ～ん、いいでしょぉー」ペロリン

　あん、こら、なに耳舐めてんだよぉ、気持ちいいじゃないか。

「どーすんだ？○○ブルじゃ高いか？」

「いや、違う。そーじゃないんだ。でも、今日はダメなんだ。ちょっと調子が・・・」

「ねぇ、いいでしょぉー」ジジジー

　こ、こら君、なにジーパンのボタン外してチャックまで下ろしてるんだ。そんなコトしたらパンティーが丸見えじゃないか。・・・と、ゆうことは、触ってもいいのかな？

「あぁん、ダメェー。これ以上は、へ・や・で」

　な、なんとゆう手練手管だ。あ゛ーーーーウンコが出そうだ！「き、今日はダメ。ね、今日はダメ。今日は」

　そう、今日はダメだ。少なくとも今日はダメだ。しかし、ゲリが治ったら・・・。

　私は、おもいっきり後ろ髪引かれながら、毛が抜けそうなほど引かれながら部屋のトイレに入った。・・・あ、明日なら。

　翌朝、例のカップルは部屋をチェックアウトしていた。

　正直に言おう。私はこのときガッカリしていた。後悔していたと言ってもいい。なんでこんな時に大ゲリしてしまったんだ。しかし、なんだな、こーゆー時に大ゲリしたっちゅうコトは、偶然じゃないよな。偶然であるわけ無いよなコンチクショー！！