さて、サファリツアーに行こう！アフリカ旅行のメインイベントの一つだ。

　ツアーのメンバーは、私、マンボー君、世界一周夫婦。そして、世界一周夫婦の奥さん方のご両親。

　奥さんのご両親？なんで？ここ、ナイロビだぞぉ？

　なんかねぇ、話しを聞くと、奥さんのご両親ってのが今年銀婚式なんだって。それで旅行を計画したんだけど、せっかくだから世界をほっつき歩いてる放浪娘夫婦の所に行ってみよう。ってコトになったらしい。サファリツアーの参加はモチロン、ケニア各地の観光やタンザニアにも足を伸ばすそうだ。

　す、すごいな。ここ、アフリカだぞ。ケニアだぞ。いくら銀婚式っていったって、ここまで来るのはすごい行動力だ。さすが、この娘にしてこの親ありって感じだな。

　そして、ご両親のアフリカ滞在を快適な物にするべく、世界一周夫婦が獅子奮迅の働きだ。宿の手配から（いくらなんでもこの宿には泊められない）サファリの手続きからその後の旅行の手配から、あっちこっち飛び回っていたよ。

　そして、そのサファリツアーに私とマンボー君を誘ってくれたのだ。

　だ、だけどさぁー、せっかくご両親と久々に会うんだから、私とマンボー君なんてゆう情けなブラザーズと一緒に行かなくても、家族水入らずの方がいいんじゃないのか？

　そー思ったんだけど、違うんだって。サファリツアーの人数は６人が１チームなんだそうだ。だから家族だけで行くと、あと二人他の人が混じってしまう。いい人だったらいいのだが、もし変な人だったらせっかくのサファリツアーが台無しだものね。なので、たとえ情けなブラザーズでも、知ってる人が混じってた方がいいんだって。

　そーゆーコトならば、遠慮せずに参加させてもらおう。しかも、手続きなんかは世界一周夫婦が全部やってくれるのだ。私はなーんにもせずにボーっとしてるだけでよかった。いやあ、楽チン楽チン。

　ツアーに参加したのは、プラネットサファリとゆう旅行会社。そこは宿も経営してるんだけど、ツアーに参加した人はその参加日数分宿代がタダになるのだ。

　つまり３泊４日のツアーだと、ツアー後４日間タダで泊まれるのだ。そしてその後は宿代が半額になる。これはいいシステムだね。

　ニューケニアロッジでもサファリツアーを受け付けていて、やっぱり宿代は参加日数分タダになるのだが、その後は元の宿代に戻るのだ。ここは宿がメインだから、半額にしたら商売あがったりなんだろうな。

　そして私らが参加したのは、３泊４日のツアー。最初の２泊３日はマサイマラ国立公園で動物見るんだ。普通はこれで終わるんだけど、私らは追加オプションでナクル湖へのツアーも申し込んだのだ。

　見れる動物の数はマサイマラの方が圧倒的に多いんだけど、ナクル湖は大量のフラミンゴが見れることで有名なんだ。

　しかし、私の目的は他にあった、世界一周夫婦の目的はどーか分からないが、私がナクル湖で見たいのは、

『サイ』！

　最初はねぇ、サイなんてアフリカに行きゃあなんぼでも見れるもんだと思ってた、だけど、けっこう絶滅が危惧されててなかなか見れないのだ。マサイマラでも見れないらしい。

　だけど、ナクル湖では確実に見れのだ。絶対にいるらしい。

　見たいぞ、サイ！

　なんかねぇ、他の動物は動物だけど（あたりまえか）、サイはねぇ、なんか恐竜っぽいじゃない。無性に見たいんだよなー。

　なモンだから、私もナクル湖へ行くことにした。

　んでね、ツアーに行く前に世界一周夫婦奥さんのご両親に会ったんだけど、なんか元気で気合いの入ったご両親だったよ。

「若い頃はハードな旅行してたから、アフリカだろうがどこだろうがへっちゃらよ」って言って、アフリカに来てるのに全然気負ってなくて、自然体で楽しそうにしてるんだ。

　お二人とも若い頃はよく日本各地を放浪してたんだって。けっこうハードな旅行をしてたらしい。

　んで、結婚した後も子供引き連れて、よく旅行してたんだそうだ。

「だからさぁ、こんな娘ができちゃって、こんな人と結婚しちゃったのよー」

　いやいやいや、世界一周ダンナの方、苦笑いしてるよ。大阪人だったらここで「なんでやねんっ！」ってツッコミ入れるトコだけど、さすがに義理のご両親にはできないよなー。

　と、ゆうことで、こんなメンバーでサファリツアーに出発した。

　最初は公園に行く前に、高台の方からアフリカ大地溝帯を眺めることになった。

　アフリカ大地溝帯。なんかねぇ、アフリカの大地には南北に何百キロも続く大きな溝があるんだ。大昔（何千年前？）に溝ができて、何年もかけてその溝がビヤーンって広がったんだって（不完全知識より）。

　そして高台からその溝を見たんだが、見る前の想像は、大きな大きな溝がビヨーンって続いている。そー思っていた。

　だけどねぇ、実際は全然違ってた。

　なんだよ、溝なんて全然見えないじゃないか、こりゃ単なる広大な平野だよ。

　眼前には広い平野が広がっていた。んでその平野の両脇に山があるんだな。話しを聞かなかったら、ここが大地溝帯だとは絶対思わなかっただろう。たんなる平野にしか見えない。

　まあ、よく考えたら何千年もかけて広がったんだから、平野ぐらいの広さになるんだろうな。だけど、ちょっとガッカリだな。

　マサイマラ国立公園へは、その大地溝帯の平野を突っ切って進むことになる。大地溝帯のど真ん中を走るわけだが、単なる平野を走ってるとしか思えなかった。やっぱりちょっとガッカリだぞ。

　そしてマサイマラに着いたのは３時ぐらいだったかな。今日はそのまま泊まるだけかなって思ったんだけど、なんと着いた早々動物を見に行くことになった！

　前日雨が降ったらしく道はベチョベチョだったんだけど、動物はいるいる！この日見たのはほとんど草食動物だったけど、かなりの数が見れたよ。運転手とガイドはけっこう日が暮れて暗くなるまでアッチコッチ走ってくれた。

　なんか、これなら明日からのサファリは期待できるな。

　さて、その日はテントに泊まって翌朝、改めてマサイマラへ出動だ！

　昨日あんだけ動物がいたから、かなり期待してたのよ、だけどさぁ、なんか思ったよりもいないんだ。

　全然いないってわけじゃないんだけど、昨日大量に見れたのと比べたら、ちょっとばっかし少ないんだ。なんか、昨日が多すぎたって感じなのかもしれない。

　最初こそそんなだったけど、それも最初だけだった。見えだしたら動物けっこういるわ。たぶんねぇ、私思うんだけど、この公園って規模がデカすぎるんだ。だから動物の見れる場所から次の場所へ行くのに時間がかかるんだ。

　だけどね、この移動時間も面白かったのだ。

　私らの乗ってる車は四駆の車なんだけど、天井がガバっと全開になるんだ。動物がよく見えるためにそーしてるんだけど、移動中に座席から立ち上がって景色を見ると、もう、メッチャクチャ気持ちいいんだ！

　なんか３６０度景色丸見えだよ。メッチャクチャ気持ちいいよ！草食動物なんかはこの移動中にもよく見れたしね。やっぱり私はインパラ系が好きだな。

　そうそう、ガイドのおっちゃんに教えてもらったんだけど、インパラってハーレム作ってるんだね。一匹のオス（ボス）が全部のメス引き連れて生活してるんだって。いやー、男の夢だね。

　でね、そーゆーハーレムとは別に、オスばっかりの団体がいるんだ。

　こいつらは、ボスにメスを全部取られちゃった残りのオス共なんだ。つまり、もてないグループ。大勢のメス引き連れて幸せそうなボスを横目で見て、もてないオスが団体でウジウジしてるんだ。

　な、なんか、他人とは思えないぞぉ！

　せ、切なくて直視できないぞぉー。

　ガンバレもてないグループ！！いつの日かボスの寝込みを襲ってその座を奪ってやれぇーー！！

　み、身につまされる光景であった。

　流れる涙をこらえながら進んで行くと、ライオンの赤ちゃんがいた！しかもイッパイ！！

　ライオン一家がお昼寝中だったんだ。オスはいなかったけど、お母さんライオンが昼寝してて、その横に、十匹ぐらいの赤ちゃんライオンがかたまって昼寝してるんだ！もう、メッチャクチャカワイかったぞー！ぬいぐるみみたいだったぞー！

　私は思わず「ヒヤッ！」とか声出しちゃったのだ。そしたら赤ちゃん達がビックリして一斉に顔あげてコッチを見たんだ！！

　ライオン赤ちゃん達と目が合ってしまった。なんか、うれしかったぞ。お母さんの方も起きちゃったのにはビビったが、コッチを見て「ケッ」とか言って（そんな感じだったんだ）また昼寝に戻っていった。

　他の人から「声出すんじゃネーよっ！」って怒られたけど、赤ちゃんがコッチ向いてくれたからいいジャン。

　しばらく全員で赤ちゃんの寝顔眺めてたよ。

　見にくくて申し訳ないが、ここにライオンと赤ちゃんが一杯いるんだ。

　んでねぇ、その後ヒョウも見れたのだ！ヒョウってなかなか見れないんだって。これが見れたのはすごくラッキーなことらしいんだ。

　最初ヒョウは木の上に登っていた。木登りヒョウだよ。

　なんでもヒョウは獲物を捕まえたら、木の上に登って獲物を他のヤツに取られないようにするんだって。

　で、そのエサ持って登ってたところを見つけたのだ（エサはもう干からびてたけど）。

　私らが見つけると、ヒョウはピューって木を降りてどっかに行ってしまった。見れたのはほんのちょっとだったけど、見れただけでもよかったな。

　ヒョウはちょっとしか見れなかったけど、そのかわりチーターの親子が見れた。それも長時間、しかも至近距離。

　草原をねぇ、チータの親子が歩いてたんだ。二匹そろってゆっくりと。私らは車でそれをゆっくり追いかけてたんだけど、チーター親子ったら、コッチに近づいてきたんだ。あんた、ドンドンと近づいてくるんだよ。しまいにゃあほんの目の前３ｍにいる。大げさじゃなくホントに目の前にいるんだ。

　いやあー、じっくり見させていただきました。いやあーかっこいいんだわ。精悍な顔をしている。動物園のチーターとはえらい違いだぞ。ホント、まじまじと見させてもらった。

　だけどさぁ、この車、屋根ないんだよ。人間様むき出しだよ。襲われたらどーすんの？

　しかし、チーター親子は我々を襲うこともなく、さっそうと向こうへ行ってしまった。ちょびっと怖かったけど、すごく良かったぞ。

　だけど、こーゆーサファリツアーで襲われた人はいないのだろうか？絶対何人かは襲われてるぞ。

　さて、マサイマラを満喫し、やって来たのはナクル湖。

　ナクル湖といえばフラミンゴの団体が有名なんだけど、私はあんまり期待していなかった。たかがフラミンゴじゃない。と思ってた。

　んが！それはあまかった！

　んまぁ、大量にいる！予想外の多さだよ。湖が、まっピンクになってる。すごいんだわ、壮観な眺めだ。近づくと逃げちゃうんだけど、それでもまだ多い。そんでなんか音が聞こえるんだ。「グギョグギョグギョ」って音が。ガイドが言うにはフラミンゴの鳴き声なんだって。

　真ん中へんにピンクの筋が見えるでしょ、あれが全部フラミンゴなんだ！

　とんでもない数だね。

　んでねぇ、他にもペリカンもいたんだ。これもけっこう数が多い。しかも空飛ぶんだよ！ペリカンって飛べるの？オレ知らなかった。けっこう迫力ある飛び方だったぞ。しかも編隊組んで飛ぶんだ。これもなかなか見ものだったね。

　ナクル湖の国立公園ってねぇ、規模が小さいんだ。マサイマラに比べるとずいぶん小さい。でも、その分そこら中に動物がいるんだ。動物探すためにアッチコッチ移動する必要がない。

　肉食動物こそいないが、草食動物はやたらめったらそこら中にいる。

　んで、肝心のサイだ！私の見たかったサイだ！

　いました。何匹かいました！サイだ、サイだサイだサイだ！！

　しかも、一匹だけ目の前に来てくれたんだ。川の水飲んでる。目の前でゴクゴク飲んでる。

　私はうれしかった。会いたかった会いたかったサイ君に会えたんだもん。もう満足です。

　あとねぇ、もうひとつ見れて良かったのが、動物じゃあないんだけど、マサイの人。

　これは移動中かなんかに見かけたんだ。ちょっと感動的だった。

　見わたすかぎりの広大なサバンナを、さえぎる物の何にもないサバンナのど真ん中を、たった一人のマサイの人が背筋を伸ばして歩いていた。

　赤いマントを着てヤリを持ってさっそうと歩いていた。

　か、かっこ良かったんだ。すごく。

　ドコに向かって歩いていたんだろう。まわりには何にもないのに。きっと何キロでも平気で歩くんだろうな。

　サファリツアーの途中にもマサイ族の村訪問ってのがあったけど、それはいわゆる観光マサイだった（その村でちゃんと生活はしてるんだけど）。

　おみやげ売ったり村の生活見せてくれたりマサイジャンプ見せてくれたり（これはすごかった！メッチャクチャ高くジャンプするんだ）したんだ。

　それはそれで良かったんだけど、移動中に見た広大なサバンナをたった一人で歩くマサイは、なんか、すごく印象に残ってる。

　なんにしても、３泊４日のサファリツアー、大満足であった。