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 恥ずかしながらわたくしは、バスから降りてしばらくはマトモに歩けなかった。なんかフーラフラしていたのだ。宿に入ってそのままベッドにぶっ倒れてしまったよ。

 ここの宿、なんかけっこう雰囲気がある。由緒正しきくたびれた洋館、とゆう感じだ。なんかドラキュラが出て来そうだぞ。食堂も洒落た感じで高級っぽいのだ。飯もうまかった。

 Mahavoky Hotelと言って一泊3,700フラン。ちょっと高いが共同ホットシャワーがあるのが嬉しい。泥んこ砂まみれの体にホットシャワーが気持ちいいのだ。

 言い忘れたのだが、マダガスカルの宿にはシングルルームがほとんど無い。みんなダブルルームばっかりだ。ベッドがデカイのは有り難いが、その分割高になってるのかも知れない。

 マダガスカルは(とゆうか外国のほとんどのホテルがそーなのだが)一人いくら、ではなく一部屋いくらなので、二人で泊まると一人分の料金が半額になる計算になる。アベックで旅行する分にはいいかもしれないな(男二人でダブルベッドに一緒に寝るのは気持ち悪いけど)。

 この町はマダガスカル最南端の海辺の町なのだが、どーでもいいけどアンツィラベからこっち、南下するに従って物価が少しづつ上がっている。コーヒーの値上がりが特にすごいね。イバトゥ村と比べたら5倍になっているよ。ま、それでも10円だけどさ。

 さて、当然ながら、この町も散歩した。・・・いいっ!散歩気持ちいい!!なんか東南アジアジャングル風なのだ。海辺の町なのにちょっと歩きゃジャングル風の森に行ける!

 インドネシアのパレパレを思い出したぞ。いかにも東南アジア風のデッカイ木の森があるのだ。もう楽しい楽しい。散歩好き森好きの私には最高の町だよ。

 そして、私はジンバブエで情報を仕入れて来たのだが、この町で取れたての牡蠣が食えるらしいのだ!

 町の中に市場があるのだが(すごく小さい)そこで、なんと牡蠣が10個20円ぐらいで食えるのだ!いつも出てるわけじゃないが、何日間か滞在すれば絶対に食える。と言っていた。

 で、見つけました!3日目ぐらいの朝、牡蠣売りのおじさんを見つけました!おじさんのバケツの中牡蠣だらけ!生牡蠣でレモンを絞って食わしてくれる。

 食いましたよ!10個20円だもん。そりゃ食いましたがな。

 ・・・あんまりおいしくないのだ。なんか、味がうすいぞ。なんか、ちょっと残念だ。値段なりの味、と言えばいいのだろうか。ま、20円じゃあしかたないか。

 が、この牡蠣のマズさをおぎなって余りある物が食えた!それは、伊勢海老の頭だ!

 かなり遠くまで散歩してた時(遠くに行っても又別の景色があり、ホントに散歩が飽きない)、一人の物売り少年がバケツ抱えて近付いて来た。中を覗くと、そこには伊勢海老!の頭だけ。なんだこりゃ?伊勢海老といっても、ものすごく小さいやつだ。しかし、小さかろうが伊勢海老は伊勢海老だ(ん?マダガスカル海老?)。どうもフライにしているようなのだが。

「おい少年、これ食えるのか?」(身ぶり手ぶり語)

「うんうん。ニコニコ」(うなずいている)

 伊勢海老だよなー。でも頭だけだよなー。ちょっと小汚いぞ。一つ5円ぐらいだ。高いのか安いのか判断不能だな。

 一つだけ食う事にした。

 ・・・ウマイ!!確かに伊勢海老だ!かろうじて肉が付いてるしミソも入ってるぞ!ウマイ!足とかもバリバリ食える。んで、チューチュー吸えるぞ!いやウマイ!四つも食っちまったよ。口ん中血だらけさ。

 食い物話しをもう一つ。

 宿の近くの飯屋なのだが、肉料理屋だ。名前忘れちゃった。宿を出て右の方にある飯屋だが、ここの肉、ウマイ!!ボリュームがあってしかも柔らかい!(海外で柔らかい肉はなかなか食えないのだ!)なんか久々にウマイ肉が食えた。

 そして、この店にはギターが何本か飾ってあった。

 自慢じゃないが私はギターが弾けるのだ(ヘタクソだけどさ)。お姉ちゃんに頼んで弾かせてもらった。なんか、久々にギター弾いて嬉しかったぞ。

 んで、ギター弾いてると、その店の大将がやって来た。どうもこのおっちゃんのギターみたいだ。そしてこのおっちゃん、ギターがメッチャクチャうまい!

 私が弾いたのは当然日本の歌なのだが、おっちゃんったら一回聞いただけでその曲を私と一緒に弾きだしたのだ。しかもメロディーまでつけて。なんかスゴイぞこのおっちゃん。

 その後おっちゃんに何曲か弾いてもらったが、すごくうまい。スティングのテーマをギター一本で弾いちゃったりなんかしてる。

 そして、なんと私の知ってる(私も弾ける)曲を弾きだした。

 Wildwood Flower だ!おっちゃんこんな曲知ってるんや。おっちゃんと一緒に弾けてなんか嬉しいぞ。歌まで歌っちゃったよ(歌詞は日本語だけどさ)。

 この店は何回か通わせてもらった。肉はうまいしギターは弾けるしお気に入りの飯屋だね。

 そして、私はこの町で日本人旅行者の女性と会った。マダガスカルで日本人旅行者に会うのは初めてだ(日本人で会ったのは大学の先生だけだった)。

 一緒に晩飯食って色々話しをさせてもらった。なんか、久々に日本語で話せるのが嬉しくて、だいぶ喋り込んでしまった。

 その子は明日飛行機で移動するらしい。うーん、なんか残念だぞ。

 そして、ここの牡蠣がマズかった話しになったのだが、その女の子はもっとウマイ牡蠣を食わしてくれる場所を教えてくれた。なんと首都のアンタナナリブで食えるそうなのだ。

 首都は海に面していないから牡蠣は取れないんじゃないか?食えたとしても、あんまり新鮮じゃないんじゃないか?

 彼女もそう思ったそうなのだが、試しに一個食ったら、まーーーうまかったそうなのだ!大きさ自体はすごく小粒なのだが、味が濃いい!もう、次から次へと食い続けたそうだ(牡蠣のワンコ食い)。

 オレも食うぞーーー!!場所もちゃんと教えてもらったし、気持ちはもうアンタナナリブに行ってるね。

 しかし、ここでそのままアンタナナリブへ引っ返したんじゃあ話しにならない。まだここのメインイベントが終わってないのだ。

 そう、横っ跳び歩きの猿、シファカーに会わなければ!



 シファカー様(もう、様つけちゃう)が見れるのは、ベレンティーとゆう保護区の中なのだ。広い保護区の中に野生のシファカーやらワオキツネザルやらブラウンレミューやらウツボカズラやらなんやかやがいて、ガイドと一緒に見て回れるのだ。

 でも、保護区の入場料はすごく高い。なので、貧乏旅行者はそこではなくて、ひと回り小さいカレタ保護区とゆう所へ見学に行く。そこなら20$ぐらいの入場料で入れるのだ。

 カレタは、規模こそベレンティーにはかなわないが、見れる動物の種類はほとんど変わらないそうだ。もちろん私もカレタの方へ行くつもりだった。

 ところが、その保護区、もうツブれていた。

 一瞬とほうにくれたのだが、(元)カレタ保護区の受付ホテルのお姉ちゃんが言うには、カレタの他にももう一つ安い保護区があるのだそうだ。

「そこもうちから行けるのよ。送迎料込みで同じ20$よ。見れる動物だって同じなのよ。ベレンティーよりよっぽど安いでしょう」

「そうか、それってガイド料も入ってるの?」

「そうよ、保護区の入場料が10$なんだけど、それはガイド込みの料金なの。ガイドは必ず同行しなきゃいけないのよ」

 そうか、同じ20$ならそこにしよう。・・・あれ?

「ねえねえ、入場料が10$とゆうことは、あとの10$は何?ここの手数料?(手数料が10$ならちょっと高すぎるぞ)」

「送迎代よ。だって町から7kmも離れてるのよ。歩いては行けないでしょ」

 ふ〜んそうか。とゆうことは、自力で行けば10$で済むってことだな。それならば自力で行きましょう!うまくいけばヒッチハイクもできるものな。

 お姉ちゃんに場所を聞いたら、海岸近くの入り口からほとんど一直線の道らしい。それなら迷う事もないだろう。

 と、ゆうことで、翌日さっそく行って来ました。場所はナハプーナリザーブ。海岸の所に看板があったから迷わなくてすんだぞ。

 そして持ち物は、水と、バナナをいっぱい!!

 このバナナはねぇ、シファカーを呼び寄せるために使うのだ。シファカーはいっつも木の上で生活していて、なかなか下に降りてこないらしい。んで、私は木の下でバナナを「ほ〜れ、ほ〜れ」と見せびらかす。そうしたらばシファカーはバナナが食いたいがために、木から降りて来て私の所まで横っ跳びでピョンコピョンコ飛び跳ねて近寄って来るのだっ!!

 っんもう!想像しただけで顔がニヤケてしまうぞ!!

 おっと、言い忘れてしまったが、ベレンティーとナハプーナでは、料金以外にもう一つ、大きな、しかも重大な違いがある。

 ベレンティーの方は由緒正しきちゃんとした保護区なので、野生の生態系が崩れることを嫌っている。そのために、入場者が猿にエサを与える事を禁止しているのだ。そりゃ、生態系を守るためには当然のことなのだろう。

 しかし、ナハプーナは新参者だ。そんな事なんかかまっちゃいられない。エサ与えようが抱きつこうがなでまわそうが何でも有りなのだ。

 はい、わたくし、理解しているつもりです。生態系を守るためには無闇ヤタラとエサなんかあげちゃあいけません。奈良の鹿状態になってしまいます。分かっているんです。でもね、分かっちゃいるんだけど、シファカーに跳んでもらいたいんだよー。抱き締めたいんだよー。ゴメンナサーイ!

 さて、ふんな事を考えながらニヤニヤ歩いていると、一台の車がやって来た。荷台に人を満載した軽トラだ。歩き出して15分とたっていない。

「おーーい、乗せてくれーーー」

 ニコニコ笑いながらすぐに乗せてくれたよ。荷台に乗ってる人の何人かはナハプーナで働いているらしい。ガイドも乗っていた。

「あなたはラッキーだ。私はナハプーナでガイドをしてるから、私がちゃんと案内してあげよう」

 別に断る理由もないものね。この兄ちゃんに案内してもらおう。ちゃんとガイドしてくれよ。

 車はガタガタ揺れながら森の中を進むのだが、この森、すっごくいい!!いーい感じの深い森なのだ。木のトンネル見たいのもある。こ、これは、帰りは歩いて帰らなきゃあ。こんな気持ちのいい森を車で通り過ぎるのはもったいなさすぎる。

 そして到着した!ナハプーナリザーブだ。ガイドの兄ちゃんに案内されて、まずは受付に行ってお金払わなきゃ。んで、受付に向かって歩いている途中、

 トン。

 え?ほえ?な、何か、オレの肩に乗ったぞ。

 ワオキツネザルだ!わ、ワオキツネザルが今オレの肩に乗っている!!兄ちゃん兄ちゃん兄ちゃん!写真撮って写真撮って!今カメラ出すから!!

「はっはっはっ。彼らは慣れてるからね。あわてなくても逃げないよ」

私の肩に乗っているワオキツネザルの写真

 私の肩にお乗りあそばしてるワオキツネザルでございます!兄ちゃんが言うように思いっきり慣れている。

 しかし、この状態であわてないでいられまっかいな!

 写真撮ってもらってたら他のワオキツネザルもイッパイ寄ってきた!うおーーー!!!バナナあげようバナナ。

 バナナ出したとたんキツネザルが群がる群がる。頭の上とか肩の上とか、ん、もう、体中にまとわりつかれちゃったよ。あげるあげる、お前にもあげるったらぁ。

「おーい。バナナをしっかり持ってないとみんな持ってかれるぞ」

 え?あ、そう?そーだな、後のためにバナナとっとかなきゃ。

 痛ってーーーー!!!サル引っ掻きゃあがった!あ゛ーーーーバナナ奪うんじゃない!コラっ!持ってくんじゃない!!

 うわー、ワオキツネザル、カワイイ顔してかなり強引だぞ。なんだかんだでバナナ半分以上持ってかれてしまった。大事なバナナ、カバンに隠さなくっちゃ。

 よし、もーバナナはあげないぞ。でも、こっち来いこっち来い。おーー来る来る。こいつらおもいっきり人に慣れてるなー。もうさわり放題撫で回し放題だよ。あーーもう!たまらんぞ!!


私の目の前で二本足で立っているワオキツネザルの写真


 慣れまくっておりますワオキツネザル。近くによっても逃げるそぶりすらしない。あぁん、たまんないのだ。

「ねえ兄ちゃん。オレ、もうここだけでいいから。ここにいるだけだからお金払わなくてもいいでしょ。え?だめ?やっぱり。え?ここも敷地内なの」

 そりゃそーだよなー。なんかキツネザルに囲まれて舞い上がっちゃたよ。シファカーにもまだ会ってないじゃないか。ここで帰ってどーする。

 ようやく受け付けに行ってお金を払ってきた。ちゃんとガイド込みの料金で10$だった(ちょっと心配してたのだ)。この保護区の中にはホテルや食堂もあったのだが、どうもお金持ち御用達のようだ。昼飯はバナナでも食うか。ワオキツネザルにかなり食われちゃったけど。

「さあガイド、出発しようぜ!最初は何を見るんだ?」

「よし、一番近くのやつから行くよ。まずはシファカーだ」

 ええっ!?いきなりかよ!いきなりメインイベントからか?美味しいのはもうちょっと後にとっておいた方が・・・。

「ほら、あの木の上だ。いっぱいいるだろ」

 ・・・いたよいたよ。受付の建物から出てすぐの所の木の上にまあ何匹も何匹もいらっしゃる。おおっ!!木の枝の上を横っ跳びで歩いてる!!なんて器用なんだ。よく落ちないもんだよ。横っ跳びで歩くたんびに枝がボヨンボヨンしなってる。

 おおおおおおおおおーー。すごい!本当に横っ跳びで歩くんだ!でも、できる事なら木の上じゃなく地べたの上で飛び跳ねてほしいぞ!おおっ!そうだ!バナナだ!!!このためにバナナを持ってきたんじゃないか!!

 ・・・私の想像では、バナナを見たとたん、木の上にいるシファカー達が一斉に降りてきて私を目指して横っ跳びでピョンコピョンコ近寄って来る。はずだった。しかし、彼らは、一向に降りて来る気配はない。

「シファカーはシャイだからね。なかなか寄ってこないよ」

 そうなのかぁ?シャイなのかぁ?ガイドがシファカーを呼び寄せるべく「ファカーファカーシファッカー」とか叫んでる。ホントにそんなかけ声で寄って来るのかぁ?でも、ダメ元でも・・・ぎゃっ!お前!どこからやって来た!!オレのバナナ返せ!!

 どこから忍び寄って来たのか、キツネザルが横からバナナ取ってっちゃったよ。お前、生息する場所が違うはずだろ?なんで来るんだよ!!

「ははは、キツネザルは慣れてるからね。バナナの臭いかいで来ちゃうんだよ」

 えーーーー、なんてやつだ。キツネザルの半分でもいいからシファカーが慣れていてくれたらなぁ。

 その後もしつこくシファカーを誘惑したのだが、寄って来る気配がない。寄って来るのはキツネザルだけだよ。なんかキツネザルが憎ったらしくなってきたぞ。しかたない、気分をとりなおして次に行くか。

 そこを移動した後、ガイドの兄ちゃんは敷地内の深い森へと入って行く。ここにはブラウンレミューがいるらしい。

「あ、いたいた。あそこあそこ」

「えっ?どこどこ?」

「見えないか?ほれ、あの木の上」

 えーっとぉ。おっ、いた!何匹かいたが、ちょっと遠いぞ。

「よしっ、今呼んでやるから。ウキャーーウキョーーーコキョークェックェッーー!!」

 に、兄ちゃん。あんたさっきもそんな声出したけど、ホントにそんなので来るのか?・・・やっぱり全然寄って来ない。

「よし、もうちょっと近付いてみよう。ゆっくりな。そーっとそーっと」

 そーっと、って言っても、下は木の枝やらなんやらがイッパイ落ちててバキバキゆってる。しかもだんだん道じゃない所通って行くから、枝やら草やらかき分けての前進だ。

「ちょっとこれ以上進むのは無理だな。ここから呼んでみよう。ウキャーーウキョーーーコキョークェックェッーー!!」

 だから兄ちゃん。それじゃぁ来ないって。

 少し遠めで、しかも暗い森の中だったから、ブラウンレミューはあんまりよく見えなかった(その後、思わぬ所で思う存分ブラウンレミューと遊ぶ事になるのだが)。

 その森を抜けた後は、普通の道を(多分コースになってるのかな)通り、植物の見学になった。色々とマダガスカル特有の植物とか見せてくれたよ。小屋の中に飼ってるカメレオンにエサやるとこ見せてくれたりとかさ。

 んで、ウツボカズラ。

 これねぇ、私見たかったんだ。食虫植物ウツボカズラ。図鑑とかでは見たことあったけど、実物は初めて見た。いかにも、どっかから持って来たのを無理やり植えました。的な生え方だったけど、ま、それはしょうがないか。

 私ねぇ、ウツボカズラの虫を落とす壷(壷って言うのかなぁ?)は茎かどっかから生えてるんだと思ってたのよ。でも実際は違った。あの壷は葉っぱの先っちょから生えてるんだ。葉っぱの先っちょがビヨ〜ンと細長く伸びていて、一回転ぐらいした先にあの壷があるのだ。私ゃ、「へえ〜」とか思ってじっくり見てしまったよ。壷の中覗いたら虫の残骸があった。

 私はけっこうわけの分からないポイントで感心して時間をかけて見る事があるんだけど、ツアーとかの場合、たいがいガイドに「早くしろっ、もー行くぞ!」とか言われてしまうんだ。だけど、ここのガイドは違った。変な所で時間をかけても、なんにも言わないで私のペースに合わせてくれる。しかも『私はちゃんとここで待っていますからね』的なオーラを全然出さなくて、すごく自然体で待っててくれるのだ。だから私も気兼ねなく時間をかけられた。日本的に言うと気配りが出来てるんだな。

 偶然とはいえ、いいガイドに付いたもんだ。ひょっとしたらここのガイドは全員そんな感じなのかもしれない。ナハプーナリザーブ、入場料安いけども、なかなかあなどれないぞ。

 その後も又色々まわって短いボートトリップもあったりして、なんだかんだで3時間ぐらい。ナハプーナリザーブ一周コースが終了した。いやぁ、けっこう満足したぞ。

 お世話になったガイドにお礼を言って(今思えば、このガイドにチップあげときゃぁよかった)帰路につこうと思ったのだが、まだ心残りがあった。シファカーだ!シファカーの横っ跳びを見ないで帰るわけにはいかない!

 ガイドの兄ちゃんに許可とってシファカーの木の下でしばらくねばることにした。え?オレも一緒に行く?いや、ガイドの兄ちゃんは仕事に戻って、オレ一人で大丈夫だから。え?あら?そうなの?

 どうもこの保護区の中では、必ずガイドと同行しなくちゃいけないらしい。多分どっかのバカに保護区の中が荒らされるのを防ぐためなんだろうな。うーん、ガイドの兄ちゃんには悪いけど、もーしばらく付き合ってもらおう。

 さて、手持ちのアイテムはバナナが2本だけ。何で2本だけなのかって?キツネザルにあげたのか?いいえ、私が昼飯に食っちまったのだ。バナナ2本だけでシファカーを呼び寄せることができるだろうか?最悪売店でバナナ買っちゃおう(町の5倍ぐらいの値段だけどね)。

 シファカーの木の下でバナナむいてスタンバイOK。おーーいシファカーー降りて来てくれよーー。

「キャーーウキョーーーコキョークェックェッーー!!ファカーファカーシファッカー!!」

 兄ちゃんこりないなー。あっ!キツネザルがやって来た!兄ちゃん、ガードしてガード!キツネザル追っ払ってよ!

 私が木の下でバナナ振り回してシファカー呼んで、ガイドの兄ちゃんがキツネザルを牽制して、なかなかいい連係プレーだ。

 そーこーしてるうちに、シファカーがユックリ降りて来た!あーーもうちょっともうちょっと。地べたに降ろすべく私が下がると、シファカーは又木の上に逃げて行ってしまう。私が近付くと木の根元の方までは降りてくれるのだが、地べたまでは降りてくれない。

 しかたがない。横っ跳びも見たかったけど、せっかくここまで降りて来てくれたんだから、バナナを食べさせてあげよう。ユックリ近づいてバナナを差し出した。

 あ゛ーーあ゛ーーあ゛ーーぐあ゛おーーーーーー!!!メッチャクチャ、おもっくそ、とんでもなくカワイイぞおおおおーーーーー!!!

 むいたバナナを持っている私の手をそぉーっと握ってさぁ、ユックリユックリ食べてるんだ。すごぉーくおとなしいぞぉー。キツネザルみたいにガツガツしてないぞぉー。しかも、手がすごく柔らかでしっとりしてて気持がいいんだ。毛なんか真っ白でフワフワだ。私ゃナデナデしてしまったよ。フワフワだったぞぉー。


私の手からバナナを食べるシファカーの写真


 もう、んもう、思いっきり可愛いのだ!

 ちょっとした至福の時でした。


シファカー様のアップ写真

 シファカーのアップの写真です。

 あ、あのね、ぱっと見は怖そうに見えるかもしれないけど、そんなコトはないのだ!メチャクチャかわいいのだ!

 ほんでね、幸せなバナナのやり取りをやっていたらね、上から降りて来た子供背負ったお母さんシファカーが食いかけてるバナナ奪って逃げてっちゃったのよ!あーあ、せっかく慣れてきたってゆうのになー。しかたない、最後のバナナ出してさっきのヤツにあげよう・・・。

 ピョン。ピョン。

 えっ?と、跳んだ!地べたに降りて来てピョンピョンはねて近付いて来た!!私の少し手前でこっちを見てる。

 も、もうちょっと跳んでくれるかな?カバンから出したバナナ持ったまま、少うし後ずさり。

 ピョンピョンピョン。

 ウオーーーー!!跳んだよ跳んだよ!なんて不思議なお猿さんなんだ。体を交互に反転させながらピョンコピョンコ跳んでいる。この時私は片手にバナナ片手にカメラの2丁拳銃状態だよ。なんか顔がニヤケきってるぞ。あげる!あげる!このバナナ全部食べて!!


横っ跳びで近寄ってくるシファカーの写真

 私に向かって横っ跳びで近づいてきてくれた!もう、感激です!

 そのシファカーは、バナナ食べ終わった後でもまだしばらく近くにいてくれた。うーん、くやしいなー、もうバナナは残ってないのだ。


シファカーとワオキツネザルのツーショット写真

 いつの間にかワオキツネザルがコッチにやって来た。あんたの10分の1でいいからシファカーが慣れてくれないかなぁ。

 あの、こーして見るとシファカーはコンビニ前でヤンキー座りしてる兄ちゃんのようです。かわいげもへったくれも無いように見えます。しかし、繰り返すが、何度でも言うが、シファカーは本当にカワイイんだよう!

 もう、私は大満足です!ガイドの兄ちゃん、色々ありがとうね!ホントお世話になりました!


「帰りはどうやって帰るんだ?もう少ししたら車が来るかも知れないぞ」

「大丈夫!私は歩いて帰りたいんだ。だって、この道の景色すごく綺麗だから」

 このガイドの兄ちゃんは最後まで気を使ってくれたよ。ありがとーねー。お世話になりました(かえすがえすも、チップ渡せばよかったよ)。



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