さて、ケープタウンに移動だ。今回は電車での移動。プレトリアをお昼前に出発して、ケープへ着くのは翌日のお昼過ぎ。夜行電車での移動だな。ちょっと恐いぞ。夜寝てる時襲われないだろうか。安い等級の車両だとちょっと恐いから、二番目に高いキップを買うことにした（なぜ一番高いのにしないかねぇ）。
部屋は６人乗りのコンパートメントだった。なかなかキレイだったな。向い合せで３人づつ座って、寝る時は背もたれを持ち上げるとベッドになる（三段ベッドだ）。
乗り合わせた人達は、全員地元の人みたいだ。一応あやしそうな人はいないけど、安心は禁物。バッグをチェーンでロックして、それを枕にして寝よう。
他の国だと、外人が一緒に乗ってるとめずらしがってヤイノヤイノ話しかけてきたりするんだが、こっちの人はほとんど無関心だ。私が話しかけても必要以上の事はあんまり話さなくて会話はすすまない。
町中でもそうだったな。外国人とゆうことで好奇の目で見られたことはほとんどなかった。都会特有の無関心なのだろうか？こっちの人は英語がペラペラなんだけど、会話とゆうのはあんまりしなかった。
このアフリカ旅行では、私も相手も会話がしたくてしょうがないのに、言葉が通じないばっかりに歯がゆい思いをする国がイッパイあった。なのに、せっかく言葉が通じる（まがりなりにもね）南アフリカでは、会話を楽しむ機会があんまりなかった。なかなか思うように行かないモンだね。
さて、とりあえず、襲われることもなく無事にケープタウンに到着。駅を出るとそこは雨だった。
プレトリアでオカマに襲われかけたＫさん（こーゆーただし書きが多いな）が言ってたけど、ケープタウンは雨が多いそうだ。名物のテーブルマウンテンだって、いつも雲がかかっててなかなかテッペンが見れないらしい。だけど、一度晴れだすと２〜３日は晴天が続くらしいので、あわてることはない。テーブルマウンテンに登るなら晴れた日の翌日にゆっくり準備して登れば大丈夫。とゆうことらしい。
そんじゃまあ、初日雨だってあんまり気にすることはないな。雨男なんて関係ないさ。それに、雨ったってドシャ降りじゃないから問題ない。駅から宿まではけっこう遠いけど、このまま歩いて行こう。
私が泊まる宿は、キャットアンドマウス。プレトリアで再会した世界一周夫婦にすすめられた宿だ。
ドミトリーで４０ランド。あんまり安くはないけどケープタウンでは妥当な値段なんだそうだ。ただし、最初に「私は一週間以上連泊する！」と宣言したら、一週間目の一日だけはタダで泊まらせてくれるらしい。つまり、６日間の宿代で７日間泊れるってことだな。最初に言わないと値下げしてくれないそうだ。
で、少々濡れながら着いた宿だが、いやなんかオシャレだねー。いかにもバックパッカー向けの宿って感じだ。壁一面にメッセージやらツアーの勧誘やらが張り付けてある。泊まってる人も全員旅行者だよ。オシャレな欧米人がイッパイいる。地元の泊まり客なんていないよ。ホント、マダガスカルとは大違いだね。部屋も二段ベッドだけどそこそこキレイで快適そうだ。なんたってテレビはおろかビデオまである。
そして日本人も泊まってるんだが、その中にハンターＭさん、とゆう長期滞在者がいた。実は世界一周夫婦から「モーニング娘が大好きな変なおじさんがいるんだよ。ケープタウンでハンティングしてるんだ」と教えてもらった人だ。
ハンティング？ハンティングと言っても動物ではないらしい。世界一周夫婦はあんまり詳しくは教えてくれなかった。
ほんで本人に会ったのだが、変なおじさん？ま、それはいいとして、ハントしてる物なのだが、ケープタウン特有のある物をハントしてるそうだ。そして、それを商売にしている。
けっして一般的な物ではないのだが、日本には存在しなくてマニアには羨望の物らしい。かなりの高価で売れるそうだ。あ、ちなに違法な物ではない。しかも見つけるのにかなりの目利きが必要で、一般の人はもし見つけたとしても全然気がつかないらしい（とんでもない場所にあるので見つけるのも大変なんだそうだが）。ひとつの特技だよな。
う〜ん、旅行者といっても色んな人がいるもんだ。でも、そーゆー旅もまたいいものかもしれない。ところで、オレはなんか特技があるだろうか？
さて翌日。晴れたよいい天気だよ。いいねぇ、雨男返上だよ。さっそくケープタウンを散歩だ。テーブルマウンテンに登るのは明日以降だね。
今日はケープタウンの町側を散歩したのだが、なんかいーねー、すごくシャレた町だ。いい感じのヨーロッパの町並みって雰囲気なんだ。プレトリアと違って欧米の旅行者がやたらと多いのでなんか安心できる。へたな横道に入らないかぎり襲われる心配もなさそうだ。
街角まがるたんびに色んな建物とか見える。で、広々とした通りに出ると、テーブルマウンテンが見えるのだ。中々雄大だねー。だだっ広い山なのだが、テッペンがホントに平らだ。まさにテーブルだね。普段はこのテッペンによく雲がかかっていて、地元の人はテーブルマウンテンにテーブルクロスがかかってる、とか言うそうだ。でも今日はテーブルクロスもかからずにその勇姿を見せてくれる。
晴れた日のテーブルマウンテン。
この日登っときゃ良かった。
そう、天気が良かったのは今日だけだったのだ！わたくし、なんだかんだでケープタウンに２０日以上いたが、まる一日中雨が降らなかったのは今日だけだった。
他の日は、朝から晩まで雨だったり朝ちょっと日がさしてるなーと思ったらすぐ雨だったり朝雨で昼からちょっとやんだりずっと曇りで時々雨だったり雨だったり雨だったり。
なんなんだこれは！？今雨期か？違うぞ、普通の季節だぞ。話しを聞くと、なんとケープタウンで２０年ぶりの異常気象なんだそうだ。
すごいね。２０年ぶりの異常気象だってさ。もう、ここまできたら本望だね。日本一の雨男返上して世界一の雨男になるか？
さて、そんな雨ばっかりのケープタウンで何やってたかってゆうと、日本の本を読みあさってたのだ。
このケープタウンには日本大使館の領事館があるのだが、そこで日本の本の無料貸し出しをやっているのだ。すばらしいサービスだね。なかなかこんなことをやってくれる領事館はないぞ。
私は今回の旅行用に数冊の本を持ってきていたのだが、そんな物はとっくの昔に読み終わってしまっていた。ちょうど日本の活字に飢えていたところだ（私はけっこうな活字中毒者だったりする）。
旅行の読書でいいのは、普段読まないジャンルや作家の本が読めることだ。旅行者の中には読書好きの人がけっこういる。そーゆー人はたいがい手持ちの本はもう読んでしまっているのだ。そして、ほかの本好き旅行者との本の交換会が始まる。交換した本にはけっこう当たり外れがあるが、普段は読まないような本が読めるのはなかなか楽しいことなのだ。
で、今回は日本領事館で手当りしだいに本を読ませてもらった。どーせ天気が悪くて外に出れないんだから、読書する時間は山ほどあるぞ。
そして、ここの領事館、すごく対応がいいのだ。
だいたいにおいて日本大使館とか領事館は、私ら旅行者には冷たいのだが（そりゃ会社の駐在員やらの仕事している人達と違って、私ら旅行者が大使館に行のは、やれ金盗まれたとかパスポートなくしたとか変なことやって頭おかしくなったとか、変な理由でしか行かないけどさ）、ここの領事館は小汚いなりした旅行者が入ってきても嫌な顔もせずに、丁寧に対応してくれた。
宿にいる日本人旅行者達にも、ここの領事館の評判はすこぶるいい。ほかの国にある大使館にも見習ってほしいね。ただ、私ら旅行者も大使館に行くなら行くで、それなりの格好をする必要がある。だれかがこー言っていた。
「だけどさ、大使館に行く旅行者達にも問題はあるぜ。まがりなりにもその国で日本を代表する機関に行くのにさぁ、破れたＴシャツや短パンにサンダル、ひげボーボーで行ったんじゃまずいよ。そんななりしてたんじゃぁ大使館の人も嫌になるよ」
ご、ごもっともでございます（小汚いかっこうで領事館へ行った私）。
さて、そんな本ばっかり読んでるダラダラ生活のある日、朝から太陽が出てる日があった。久々の晴れ間だ。こ、これは、テーブルマウンテンに登らなきゃぁ！今日逃すとまたいつ晴れてくれるか分からないぞ！
さっそくスーパーに行って食い物や飲み物やお菓子を買い込んで、その足でテーブルマウンテンに登った。
テーブルマウンテンに登るには、ケーブルカーで登る楽々コース（料金高い！）と、地力でえっちらおっちら登る登山コース（タダ）がある。もちろん私は登山コースだ。登山コースにも何種類かあるのだが、私はその中でも一番簡単な初心者コースを登ることにした。時間はかかるが単純なルートで迷子になることも少ないそうだ。方向音痴の私にはぴったりのコースだね。
いやあ、テーブルマウンテンの近所回り、いいです！町中とはうって替わって緑がイッパイ。けっこう花も咲いている。向こうを見ればキレイな海まであって、ここも散歩に最適だなー。今度晴れたら又ここに来よう。町中の散歩もいいし山側の散歩もいい。なかなか楽しませてくれる町だよ。
最初はいい感じだった。いい眺めの場所があればそこに座って一服して、ちょっと面白そうな場所があれば寄り道して、のんびりと散歩気分で登れた。しかし、それも最初までだった。後半ぐらいになるとけっこうキツイぞ。四つん這いになって進まなきゃいけない所とか、ちょっとした崖みたいな所とか、けっこうハードだ。ホントにここ初心者コースか？だんだん不安になってきたぞ。
そして、そんな私の不安に同調するかのように、天気が悪くなってきた。
だいぶんと頂上近くまで登りつめた頃、テッペンの方からどす黒い雨雲がかかってきたのだ。さっきまで頂上部分が見えてたのに、今は雲で何にも見えない。それどころか、その雲がこっちの方まで降りてきてしまった。
視界５ｍぐらいだ。５ｍ先は霧のような雲で何にも見えない。これは大袈裟じゃないんだ。本当に５ｍ先が見えないのだ。
私の今の体勢は四つん這い状態です。四つん這いで登ってかなきゃいけない状態で前が見えないのだ。進むルートなんかまるっきり分からない。こ、これはまずいぞ。
しばらくその場所にしゃがんで空が晴れるのを待っていたのだが、晴れる気配まったくありません！それどころか、雲がもっと下がってきた。前が見えないどころか後ろまで見えなくなってしまった！か、帰りのルートが分からなくなるぞ！おまけに小雨が降ってきた。
はい、もう、大急ぎで下に降りたのは言うまでもありません。あんな所で遭難した日にゃ洒落にならないぞ。私、けっこう顔引きつらせて降りてましたよ。
で、そんな状態で顔引きつらせて降りてる途中、能天気にもこれから登ろうとしてる欧米人に会った。
「ちょ、ちょっと、今登ると危ないですよ。ほら、上の方すごい雲があるでしょう。ここはまだいいけど、上の方は前後左右なんにも見えないですよ。雨も降ってますよ」
「問題ないよ。頂上はあとちょっとだよ。せっかくここまで登ってきたのに、あとちょっとの所で引き返すなんてもったいないよ」
「でも危ないって。私もそう思って登ってたんだけど、もうダメだよ。上は本当に何にも見えないよ」
「問題ない！私は前にも登ったんだ。あとほんの少しだよ。さあ、私と一緒に行こう！」
「い、いや、私はやめる。このまま帰るわ」
欧米人の兄ちゃんは、肩をすくめて一人で登って行ってしまった。本当に上までたどり着けるのだろうか？「気を付けてなー！」
しばらく降りて行くと、・・・晴れてきちゃったよ。なんだ、こんなことならあきらめずに登っときゃあ良かった。と思って上を見ると、テッペンの方は相変わらずの真っ黒な雲だらけだ。そーかー、上の方だけ曇ってるんだな。ヤッパ登るのは無理だったか。
あれ？さっきの欧米人だよ。ゆっくり降りて来るのが見える。やっぱりあきらめたんだ。だからいわんこっちゃない。
そのまま帰るのもしゃくにさわるので、テーブルマウンテンの裏側の海岸によってみることにした。
いやあ、この海岸、完全なリゾート海岸だね。今はまだ冬で泳いでる人はいないけど、夏場にゃあ思いっきり観光客がやって来るんだろうな。ここもまた町中とは雰囲気の違う場所だね。リゾート地なのでしょっちゅう来たいとは思わないが、たまに散歩するにはいい所だな。
しかしケープタウン、場所によって全然違う顔を見せてくれて飽きさせない町だねー。いい町だよ。これで雨さえ降らなきゃゆーことないんだが。
ケープタウンの町中。路上でお土産とかを売っている。
雨に煙る町もなかなかいいんだけどね。
