川を渡った所に待っていた車は、上等な四駆のランドローバーだった。国が変わっただけで車種がこれほど変わるのか？モザンビークではこんな上等な車は見なかったぞ。タンザニアってけっこう裕福な国なのかな？
このランドローバーは、タンザニアのイミグレを通った後もそのまんま最初の町までつれて行ってくれるらしい。なら安心だね。
タンザニアのビザはここのイミグレで発行してくれるから簡単に入国できた。ビザ代は高いけど３ヶ月間滞在できる。と、ゆうことで、
いやー、ランドローバー快適だよ。これならデコボコ道だろうが何だろうがヘッチャラだね。久々に快適な車に乗って到着したのはムトワラとゆう町だ。けっこうゴチャゴチャした感じで好きだぞ、こーゆー町。
私はこの町で２〜３日休養するつもりだった。モザンビークではほとんど休まず突っ走ってしまったのでクタクタだったのだ。人間、あんまり頑張り続けるもんじゃない。頑張った後はちゃんと休まなきゃ。
ところが、それがそーもいかなくなってしまった。早いこと移動しなければならなくなったのだ。なぜかと言うと、手持ちの金が底をつきそうなのだ。
この町、銀行が無い。両替しようにも両替所も無い。今の手持ちの金は、残ってたモザンビークのお金をタンザニアシリング（タンザニアの通貨）に両替しただけで、もうあんまり残ってないのだ。
そんなわけで、早いこと次の町（首都のダルエスサラーム）に行って両替しなきゃいけないんだ。金がないとメシも食えないぞ。
ダルエスサラームへ行く方法は二つ。一泊二日かけて船での〜んびり行く方法（お値段お安め）と、高速バスで８時間で行く方法（お値段お高め）だ。
いつもだったら船での〜んびり行くのだが、船だと銀行に間に合わないのだ。船もバスも出発は明日なんだけど、明日は金曜日だ。と、ゆうことは、船で行ったら到着が土曜日になってしまう。銀行閉まっちゃうじゃないか。お値段お高めのバスで行くしかないなー。今日の宿代払ってバス代出したら、いよいよお金が無くなってきた。メシちゃんと食えるだろうか？
さて翌朝です。高速バスに乗ってダルエスサラームだ！と思ったらあんた、これが高速バス？どー見てもオンボロバスじゃないか。ずうたいはデカイけど廃車寸前バスだ。国境の車がランドローバーだったから期待してたんだけど、おもいっきり期待だおれだよ。ま、ちゃんと着けばオンボロでもいいか。
出発は、出発予定時間を１時間以上遅れて出発した。車のバッテリーがあがっていたのだ。最初っからイヤな予感がするよ。そしてその予感に応えてくれたのが最初の停車場だった。
てっきり直行バスかと思ってたのだが、どうも各駅停車のバスみたいだ。色んな所で停車する。ま、それはいいんだけど、最初の停車場に止まったまま一向に出発する気配が無い。もう１時間以上も止まっている。なんか地元の警官とモメてるぞ。どうも通行許可書の記載に不備があったみたいなんだ。あーでもないこーでもないと、ずぅっと警官とモメていた。
結局ここに２時間以上も足止めされてしまった。先が思いやられるぞー。
やっと出発したよ。運ちゃんも遅れてることを自覚してるのだろう、けっこうスピードを出している。やっと調子が出てきたね、このまま順調に行ってくれれば・・・、
パンっ！
パ、パンクだ。パンクしちゃったよ。
大丈夫か？このバス。後ろのタイヤがパンクしたんだけど、タイヤ見たらさぁ、ツンツルテンなんだ。溝なんかありゃしない。これじゃあパンクするわなあ。
そして、予備のタイヤは無い。そのツンツルテンのタイヤを修理して付けちゃったよ。大丈夫か？そのタイヤ。又パンクするんじゃないのか？
私のそんな心配をよそに、バスは発車した。なんだかんだで修理に１時間ぐらいかかってしまったよ。全部合わせたらかなりのロスタイムだ。
運ちゃんもあせったんだろーねー、遅れを取り戻すべく、飛ばす飛ばす。道はけっこうな悪路だ。しかし、お構いなしに飛ばす飛ばす。えらい揺れるぞ。
ちょ、ちょっと飛ばしすぎじゃないか？なんか、車の性能を超えてないか？エンジン悲鳴あげてないか？このうえエンジンでもぶっ壊れたらおしまいだぞ。
ドッカーン！ドカカカドカバンッ！バタタンバタタンバタタンガタガタガタ。
な、何だ何だ何だ？何があったんだ？！又パンク？いや、そんななまやさしいモンじゃないぞ。えらい音がしたぞ。なんか、致命的なことがおこったんじゃないか？
う、運ちゃんさぁ、何で止まらないの？スピードはおもいっきり落としたものの、運ちゃんは止まらずそのまま進んでるよ。進むたんびにバタタンバタタンバタタンとか音がしてるのに。
バタタン言わせながら運ちゃんが向かってたのは、車の修理工場だった。どえらい音がした場所と修理工場が偶然近かったんだな。しかし、何があったんだ？
修理工場でバスを降りて見てみると、タイヤが破裂していた。さっきパンクしたヤツだ。完全にズタズタだ、木っ端微塵と言ってもいい。もう完全に修理不能だ。よくこれで横転しなかったもんだね。
んでね、当然新しいタイヤを買うんだと思ったのよ、ここでさ。しかし、タイヤを買う気配は無い。破裂したタイヤを屋根に乗せて（そんなの持って帰ってもしかたないだろ！）そのまま出発するみたいだ。
後輪のタイヤはさぁ、一つのシャフトに２個づつタイヤが付いてるやつなんだ。つまり、後輪のタイヤは１個無くても走れることは走れる。だけどさぁ、２個づつ付いてるってコトは、それなりの理由があるんじゃないのか？なんか耐久性とか重量の問題とかでさぁ。
そんな私の心配をよそに、たっぷり２時間かかった修理を終えて、バスは再び出発してしまった。おーい、タイヤ付けよーよー。このまんまだともっとヒドイ事故が起こるんじゃないかー？
私の心の叫びもむなしく、バスは進む。相変わらず飛ばしているぞ。さすがに先程のムチャな飛ばし方じゃないが、でも心配だぞ。もう贅沢は言わない。到着が夜中になってもいいからさー、安全運転で行こうよー。
・・・しばらくは何事もなく走ってた。でもね、なんかね、運ちゃんが後ろのタイヤを気にしてるんだ。さっきから何度も窓から顔をのぞかせて後ろのタイヤを見ている。
なんかヤな予感がするよなー。今度は何だ？
私のイヤな予感が当たったのか、バスはスピードを落として止まってしまった。何だ？今度は何だ？
・・・ホイールがヒン曲がっていた。タイヤ１個だけで無理して走ったために、ホイールがヒン曲がってしまったのだ。
だから言ったじゃないかよー。どーすんだよー。
換えのホイールはあった。さっき破裂したタイヤのホイールを付け変えたのだ。いやー、タイヤ捨てなくてよかったね、さすがだよ。私はちょっと感心してしまった。
さて、ホイールの交換をして（また２時間ぐらいかかってしまった）、再々出発だ。もう、何が起こっても驚かないぞ。
ホイールの交換後、バスはおもいっきりのノロノロ運転になってしまった。そりゃそーだろーなー。又ホイールが壊れたら今度こそ立ち往生だ。だけど、こんなスピードで本当に今日中に着けるのだろうか？
・・・無理でした。夜の７時ごろ、どっかの小さな村にバスは止まってしまった。今日はここに泊まるらしい。なんか知らないけど、他にもバスやらトラックやらがイッパイ止まっている。いったいここはドコなんだ？ちょっと運ちゃんに聞いてみよう。
「ねーねー、ここはドコなの？ダルエスサラームはマダ遠いの？」
「ん？大丈夫大丈夫、心配ない。ダルエスサラームはあと少しだ。明日の朝にはダルエスに着くぞ」
「ちょっと、そんなに近いの？そんなに近いんならなぜここで泊まるのさ？今日中にダルエスに行こうよー」
「ダメダメ。今日はもうボートが出ないから、川を渡れないよ」
ボ、ボート？川？何のことだ？
なんかねぇ、この道の先に川が流れてるんだって。そして、川には橋なんか無い。だからボートで渡るのか。だけど、私らはボートで渡るからいいけど、バスはどーするんだろう？川の向こうで別のバスに乗り換えるのかな？
「ねーねー、このバスはどーなるの？川向こうで乗り換えるの？」
「んん？そんなことはしないぞ。バスもボートで川を渡るんだぞ」
「え？ボートで渡るの？私らと同じボート？」
「そうそう、同じボートだ」
「そ、それはさぁ、ボートじゃなくてデッカイ船じゃないの？」
「違うよ。船じゃない。ボートで渡るんだ」
な、なんか会話が噛み合ってないぞ。船のことをボートって言ってるのかな？でも「シップじゃない、ボートだ」って言ってたもんなぁ。ま、いいか。明日になれば分かるや。さて、残り少ない金でメシでも食おう。
ハラもふくれたのでバスに戻って寝ようとしたんだけどさぁ、バスん中だーれもいなくて、おまけに鍵までかかってるんだ。
「おーい、ドア開けてくれよー」
「何だ？中に入って何するんだ？」
「何って、寝るんじゃんかよー」
「ダメだ、中じゃ寝れない。ここで寝ろ。みんなここで寝てる」
こ、ここ？ここって、道の上？
なんかさぁ、泥棒が入るとかで、バスに鍵かけて誰も入れないようにしてるんだ。そして、みなさんは思い思いの場所にゴザをひいておやすみになっている。
なんだよー。タンザニアに来てまで野宿かよー。８時間で着くって言ったのはドコのドイツだ！
翌早朝、暑さで目が覚めてしまった。ここ、暑いわ。モザンビークよりもまた一段と暑い。さて、何時に出発するんだろう？
「おーい、バスは何時に出るんだ？」
「んん？何時になるか分からん。ボートの順番待だ」
ボート？そうそう、ボートだ。ボートって何だろう？ボートボート、ボートはドコだ？
あ、あった！川にボートが浮かんでいる。しかし、あれはボートじゃない、あれはイカダだ！巨大イカダだ。車が３〜４台乗せられそうな巨大イカダだ。それに無理からエンジンをくっ付けている。
まあ、英語で表現するとしたらボートなんだろうな。間違っちゃぁいないわな。でも、まさかこんなので川を渡るとは思わなかった。
これがそのボートだ。ほとんどイカダだぞ。しかも乗せれるだけ乗せてるぞ。重量オーバーじゃないのか？
しかし、いくら重量オーバーにしても乗せれる車は３〜４台が限度だよ。バスやトラックは何十台と待っている。しかも、向こう岸にも何十台と待っているんだ。イカダは一つしかなくてピストン輸送をやっている。いつになったらウチのバスの順番がまわって来るんだろう？
けっこう朝早くからイカダは動いていたんだけど、こりゃ時間かかりそうだわ。イカダに車乗せるのも時間がかかるんだけど、そっからが遅い。
川岸からコッチに上がってくる道が細いんで、一台づつしか通れないんだ。しかもそこがけっこう急な坂道になっている。パワーのある車はいいが、パワーの無い車は坂を上りきれずに途中で立ち往生してしまうんだ。
そーなるとどーするのかと言うと、こっち側にいるパワーのある車にロープをつないで引っ張るんだ。そんなコトしてるからちっともウチの番がまわってこない。しかも、一台坂の途中で故障した車があったんだ。立ち往生するならまだしも、こんな場所で故障なんかするなよ。修理が終わるまでだーれも動けないじゃないか。
そんなこんなでウチの番がまわってきたのは９時過ぎだった。こんな時間に出発して、私は銀行に間に合うのだろうか？すごく不安だぞ。手持ちの金はほとんど無いんだぞ。運ちゃんが言った「ここからダルエスまではあとチョットだ」とゆう言葉を信じよう。
バスと一緒にイカダに乗って川を渡ったんだけど、よくもまあこんなイカダ作ったもんだ。床は木だよ木。厚さもそんなにないぞ。そして長細い。その長細いイカダにエンジン付けただけだ。真ん中で折れないか心配だぞ。
さて、イカダは壊れもせずに無事に川を渡った。さあ、ダルエスサラームに向けて出発だぁ！
出発だぁっと思ったら、このバスいきなり修理工場に向かったのだ。いまさら修理かよ、修理なんか後にしてさっさとダルエスに向かえよ。
・・・しゅ、修理しに来たんじゃない。タイヤの空気を入れに来ただけだ。
何やってんだよ！そんなもん川で待ってるときに入れとけよ！あそこにも空気入れる機械があったろうがっ！オレちゃんと知ってるぞぉ！何のためにあそこであんな長時間待ってたんだよー。あんたらの頭の中にゃぁ効率とか能率とかの文字は無いのか？私はひっくり返りそうになったよ。
ここからダルエスまでは、珍しくなんの問題も無く到着した。しかし、到着したのは３時半だった。当然銀行はもう閉まってる。お金は無い。ふんだりけったりだよ。こんなコトなら船で来りゃよかった。もう遅いけどさ。
しかし、さらに困ったことがあった。このバス停、町の中心から遠いのだ。中心から１０キロぐらい離れてるらしい。みんなピックアップに乗って町に向かっている。モチロン私にはピックアップ代を払うお金なんか無い。どーしたもんかな。ダメもとで頼んでみよう。
「運ちゃん！到着があまりにも遅いじゃないかぁ！本当は昨日着くはずじゃなかったのかぁ？私は銀行に行くはずだったのだぁ。こぉんな時間じゃあ銀行は閉まっているじゃないかぁ。責任を取って私を町の中心まで送りたまえぇぇ」（ちょっと演技しております）
運ちゃんは最初「何言ってんだぁ」ってな感じだったけど、最終的には途中まで送ってくれることになった。
なんでもこのバスはここに残るんじゃなくて、バス会社まで戻るんだって。そのバス会社がここと町までのほぼ中間ぐらいにあるんだ。だからそこまで乗せて行ってもらえることになった。
たとえ中間でもいいや。ここから１０キロ歩くよりはよっぽどマシだ。
んで、バス会社まで送ってもらって、そこで冷たい水をごちそうになった。水だけかいっ！とゆう気もしないでもないが、送ってもらったくせに贅沢言っちゃあダメだよな。
さて、ここから町まで歩くか。
暑いよー。ダルエスサラームってかなり暑いぞ。モザンビークよりもはるかに暑い。こんな場所ではシャカリキに歩いちゃいけない。倒れてしまうぞ。こーゆー暑い場所じゃあチンタラ歩くにかぎるのだ。
んでチンタラ歩いてたんだけど、目指す宿はすぐに見つかった。方向音痴の私としては珍しいことだ。さ、とりあえず荷物置いて一休みしよう。
「え？何？ここって宿代前払いなの？あ、あのー、私、お金無いの。月曜日銀行に行くからさぁ、それまで待ってくれない？」
「何だぁ？金無いのかぁ？クレジットカードも無いのか？」
「え？クレジットカードはあるけど、この宿クレジット払いできるの？（こんな安宿なのに）」
「クレジット払いはできない。でも今ならＡＴＭが開いてるから金出せるだろ」
な、なんとダルエスにはクレジットカードのＡＴＭがあって、キャッシングができるらしいんだ。それはいい！今日と明日のメシ代をどーしよーかと思ってたんだ。手持ちの金じゃあロクに食えないなーとか思ってたのだ。
帰ったらお金払うってことにしてチェックインさせてもらった。よっしゃ、さっそく金出しに行こう！けっこうビミョーな時間だから、早くしないと間に合わないかもしれない。
海外で、特に治安のあまりよろしくない国でキャッシングするのは緊張するぞ。南アでの強盗話もあるし、教えてもらったＡＴＭにガードマンがいなかったら他の場所を探そう。でも急がなくっちゃ。
「おい、ちょっと待て、ちょっと待て」
何だ？なんだ警官じゃないか。若造の警官だぞ。なんなんだコノ忙しいときに。
「おい、パスポート見せろ。チェックする」
なんだぁ？なんでこんな時にこんなヤツにパスポート見せなきゃいけないんだ。いかにもヒマ持て余してる若造警官だ。私ゃ忙しいんだ。無視することにしよう。
「あんなぁ、いま忙しいねん。ちょっと後にしてんか」
「パスポート、パスポートチェック。パスポート。あの、その、チェック・・・」
ついて来るんじゃないよ。ん？チョット待てよ。こいつＡＴＭに連れて行きゃぁガードマンの代わりになるな。
「あのなぁ、オレいまＡＴＭのある所に行くねん。お金おろすんや。そこでパスポート見せるから、ちょっとついて来てんか」
「ダメだ。こ、ここだ。ここで見るんだ。パ、パスポートをチェックするんだ。君はビンラディンかもしれない」
あぁ？何わけの分からんコトゆーとるんや。やっぱり無視しよ。スタスタスタ。
「待て、待て待て。君はアメリカのテロを知っているか？ビンラディンがここに隠れてるかもしれない。君がビンラディンかもしれない。わ、私はパスポートをチェックする。パ、パスポート。君は見せなければいけない」
「お前はアホか？（ここは日本語）オレは日本人だ！見れば分かるだろ。お前はオレがアフガン人に見えるのか？」
「パ、パスポートをチェックしなければ分からない。パ、パスポート」
そで引っ張るなっ！ホンマにもう！頭悪いやっちゃなー！ホンマしゃーないなー。見せたらいいんやろ見せたら！ホントはこんな道の真ん中でパスポートなんか見せたくないんだよ。変なヤツに見られたらどーするんだ。
道のはじっこでパスポート見せたよ。しかたないなー。早よしてくれよ。
「こ、これはいけない。君は滞在を超過している。罰金を払うんだ」
あぁ？！何わけの分からんことゆーとるんや！ワシまだ入国したばっかりヤンケ！ドコ見てゆーとるんやドコ見て。このボケがっ！！ちょっと見せてみぃ！
「よー見てみんかぃ！これが入国スタンプや！入国したんは３日前やろ！どこが超過やねん！」
「こ、ここを見てみろ。滞在可能日数は３日間じゃないか。今日は３日目だ。君は滞在超過だ」
「オ、オノレはボケかっ！（大きな声で日本語で）どこが３日間やねん！３ヶ月やろ３ヶ月！デイズとマンスの違いも分からんのか！返せっ！パスポート返さんかいっ！」
「ちょっと、ちょっと待て。」
誰が待つかいアホンダラがっ！おもいっきり時間の無駄やがな。なんなんや、あのスカタン警官は。結局なーんもせんとどっか行ってしもたがな。だいたいもし滞在期間が３日間でも、今日が３日目やから超過とちゃうヤンケ。ほんまアホちゃうか？
ほんでよー、やっとたどり着いたＡＴＭの機械がよー、ちゃんと動かないんだ！何度やってもエラーで戻ってくる。ガードマンのおっちゃんに聞いたら、この機械は通信状態があんまりよくないんだって。
ホンマにもー。えーかげんにせんとタンザニア嫌いになるぞー。
ガードマンに別のＡＴＭの場所を教えてもらって、そこでやっと金がおろせた。
ふーー。これでまあ、なんとかなるか。
いったん宿に帰って宿代払って、それからメシを食いに行った。ふーー、なんとか人心地ついた。長い長い移動がやっとこさ終わったよ。しっかし疲れたなー。とりあえず寝よう。今日はもう寝よう。メッチャ疲れた。・・・クークークーグーグー。
ドッパーン！ドパパパァーーン！パンパンドドッパーン！！
な、何だ何だ何だ！今度は何だ！何の騒ぎだ？
は、花火だ！花火が上がっている。しかもこの宿のすぐそばから上がってるぞ。こ、これは外に出て見に行かなきゃ！えぇっと、いま何時だ？ちょうど夜中の１２時だ。ま、真夜中だけど大丈夫だよな。ちゃんと鍵確認して外に出よう。
ドーン！パーン！ヒュルヒュルヒュル、スパパパパパァーン！
うっひゃぁ、けっこうキレイだよ。しかもメッチャ迫力がある！私が見に来た場所は、花火を打ち上げてる場所から１００ｍと離れていない。こんな間近で打ち上げ花火を見るのは初めてだ。
話しを聞くとさぁ、なんか今日がちょうどタンザニアの独立記念日なんだって。それで１２時ちょうどに花火が上がったんだ。
いやあ、なんかいーねー。タンザニアの人にとっては独立記念日の花火だけど、私にとっては長いことかかって移動した「ご苦労さま花火」だ。
終わり良ければ全て良しってやつだね。いやーー、良かった良かった。今度こそ、気持ちよく眠れそうだ。
