さあ、次の遺跡はバイヨンだ。アンコールワットの次に楽しみにしてた遺跡だ。四方八方に大仏っつぁんの顔が彫ってある塔がイッパイ立っている遺跡だ。アンコールトムとゆう遺跡エリアがあって、その中の大仏っつぁん顔集合遺跡の事をバイヨンとゆうらしい。

　これがバイヨン遺跡。奥の方に何本も塔が立っているが、その全部の四面に仏像の顔が彫ってある。

　そして、その１つ１つの表情に微妙な差があって、見てて飽きないんだな。

　その１つの顔面のアップ。

　ここに来る前の写真のイメージでは、もっと巨大な顔面だと思ってたんだが、思ったよりも小さかった。

　私としては、奈良の大仏っつぁんレベルの顔面を期待していたのだが。・・・しかし、もし１つの顔面がそんなにデカかったらバイヨン遺跡はトテツもなく超巨大な遺跡になってしまう。

　ちょっと考えりゃあわかることだな。

　その他、色々と遺跡を回ってもらったんだが、だんだん訳がわからんようになってきた。１つ１つの遺跡はそれぞれ素晴らしいんだけど、一日に五つも六つも続けて見てしまうと、感性がマヒした様になってしまって、みんな同じに見えてしまう。

　これはヤバイ！せっかくの遺跡がヒジョーにもったいない！３日券はよした方がいいってゆうのはこーゆー事だったんだろうか？

　しかし、３日間のスケジュールはほとんど決まっているのだ。宿に泊まっている人に『アンコールワットのことなら私に任せなさい！』とゆう人がいて、３日券の有効な使い方、とゆーのを教えてもらった。

　その人によると、まず最初の２日間でアンコールワット近辺の遺跡を全部回る（ゆっくり回って丁度２日間だそうだ）。そして、３日目の午前中にバンテアスレイの遺跡を見学し、残った半日を使ってお気に入りの遺跡でのーーんびりする。『それがベストだヨ〜〜〜ン』と、言っていた。

　バンテアスレイとゆうのは、かなり離れたところにある遺跡で、ここへ行くときだけ追加料金として＋５ドルが必要になる（遠いかららしいのだが）。しかし「５ドルよけいに払っても見る価値が十分にあるスンばらしい遺跡！」らしい。

　その後も少し遺跡を回って、やっと一日目が終わった。

　・・・腰がイターーーイ！トラック移動の疲れが完全にいえていない所に持って来て一日中バイクの二人乗りしたもんだから、腰が痛くってしょうがない。明日は休養日にして、明後日に遺跡巡りの２日目をしよう。

　腰痛でヒーヒー言ってる私に、宿の壁に貼ってある紙が目に入ってきた。

『カンボジアのトラディッショナルマッサージをやって旅の疲れを癒しましょう！たったの２ドル』

　マッサージしてるところの写真も貼ってあって見たんだけど、ひょっとして、あれか？チョット聞いてみたら、やっぱりそうだった。

　そのマッサージは、球形の小瓶（ヨーグルトのビンのようなやつ）を炎で暖め、そのまま背中やら肩やら腰に貼っ付けるのだ。そーすると暖められた中の空気が冷めてきて、吸盤のように体にひっ付く。そのままじっとしてると、ビンの中に空気と一緒に悪い成分やら何やらが吸い出されるのだ（本当はもっと違う説明だったけど、まー、そんなような原理だな）。

　そして、小瓶を“ポッコン”とはがすと、体中にまあるい跡が残る（巨大なキスマークみたいなもんだな）。

　そーです！プロレス好きの人ならもーわかったでしょう！アントニオ猪木が時々やっていたあのマッサージだ！

　猪木が体中丸い斑点だらけで試合した事があったんだけど、何だこりゃあ？と思ったもんだ。その時、山本小鉄が「あれはコレコレこーゆーマッサージなんですよ」と説明していたが、まさかそのマッサージがこんな所で、しかもたったの２ドルで出来るなんて思ってもみなかった！モチロン、さっそくやってもらった。

　マッサージ専門のオッサンでも来るのかと思ったら、なんと宿のオバちゃんがやるらしい。大丈夫かぁ？心配になって話しを聞いてみたら、なんでもこのマッサージはこの辺の人なら誰でもやっているそうだ。最初の頃、オバちゃんは自分の子供や従業員達だけにやっていたそうなんだが、それを見た常連の客が「せっかくだから商売にしろ」と、アドバイスしたらしい。

　ここのオバちゃん、全然商売っ気がないそうで。このマッサージにしても、最初は「こんな物に金払わすのはもったいない」とか言って、タダでやろうとしたそうだ。で、その常連さんがナンやカヤとアドバイスやら大きなお世話やらをやいていたそうだ。

　たしかに、数日しか居なかったが『商売して金を儲けよう！』とかゆう気配はみじんも見えなかった。毎日タダで洗濯してくれるし（全員分やるから途方もない量の洗濯物なんだが）たったの１ドルで昼と晩の食事を出してくれる。お昼はともかく、晩飯はメチャクチャ量があってけっこう豪華だ（日によって当たり外れはあるらしいが）。とてもじゃないが１ドルじゃあ元はとれないと思うぞ。

　また、お気に入りの宿が１つ増えて私はうれしいぞ。

　で、問題のマッサージだが、パンツいっちょうの状態でうつ伏せになって始まった。

　うつ伏せ状態で後ろを向けないから、音だけで判断しなきゃいけない。たいまつの様な物に火をつけてビンを暖めてるようだが、一個一個火をつけてるらしくて、そのたんびに“ボッワッ”“ボッワッ”とか音がして、熱気がモワッとこっちに来る。ちょっと怖かったぞ。

　背中とかに付けられてる時は思ったより熱くはなかった。なんか引っぱられてるような感じもするが、そんなに痛くない。が、大量に背中に付けられた後、１５分ぐらいジッとしてなきゃいけない。これはつらいぞ。動くに動けない！

　ほかの泊まり客がのぞきに来て「うわー、怪人タコツボ男だ！」とか「ガメラの甲羅みたいだ」とか、好き勝手なこと言いやがる。自分じゃどんなカッコだか分かんないから、よけいに気になるぞ！

　１５分後、いったん全部外して、もー一度付け直す。同じ事を２回するらしい。結局１時間近くかかってしまった。その間、身動きがとれないとゆーのは結構苦痛だ。しかもタイマッサージのようにマッサージ中に「おーーー、きもちいいーー」的な快感が全くない。こりゃあ失敗したかな、とか思ったんだけど。だけど！！

　翌日！！メーーーッチャ快適だ！！！昨日までの背中や腰の痛さがウソのようにに消えている！！ゼッコーチョーだ！！これはスゴイ！！！

　今まで色々とマッサージや指圧をしてもらった事があったけど、ここまで効果がハッキリ現れたのは初めてだ！

　皆様！カンボジアのタコツボマッサージ、お勧めです！特に腰痛でお悩みの皆様、ぜひカンボジアへ行きましょう！！

　よおっしゃー！タコツボマッサージと丸一日休んで体調はゼッコーチョーだ。明日は張り切ってアンコールワットへ向かおう！