翌日、さっそく宿のアンちゃんに“シューティングエリア”とかゆう所まで連れてってもらうことにした。バイクで連れてってもらったんだけど、えらく長い時間走ってるぞ。周りの景色も田舎っぽくなってきた。プノンペンはカンボジアの首都だけあってビルやら舗装された大きい道路やらがあるんだけど、ここはどこだ？３０分近く走ってるぞ。アンちゃんに聞いても「もうチョット、もうチョット」と言うだけだった。
・・・しばらくすると、何だかトンでもないエリアに入ってきた。なんか、軍服着た兵隊さんが銃担いで走ったり四つんばいになったりしてるよ。こ、ここって、軍隊の演習場じゃあないの？こ、こんなとこで銃撃つの？ひょっとして軍隊の銃？いいのか？違法じゃないのか？日本でそんな事したらえらい事になるぞ。ついこないだも、えらい事になったばっかりだぞ。
あせる私を乗せたまま、バイクはその演習場の奥にある喫茶店のような所へ入って行ってしまった。
で、メニューがあったんだけど、普通だとさ、ジュースやらビールやら食べ物がメニューに載ってるんだけどさ、そこのメニューにはM16とかAK47とかgrenadeとか、そうゆうのがイッパイずらずらーーっと書いてあるのさ。その横には値段も書いてある。だいたい５ドル〜３０ドルぐらいだった。
眺めてたら店(？)のアンちゃんがニッコニコしながらよって来た。い、一応聞いてみよう。
「づーゆーはぶ、ロケットランチャー？」
「んん？ロケットランチャーはないなー。マシンガンでどうだ？こっちこい」
つれてってもらった部屋には、あるわあるわ壁一面に機関銃やら鉄砲やらライフルやら手榴弾やらなんやらかんやら、武器だらけだ。これ、全部撃てるんだろうか？
「どーだ、これなんか人気があるぞ。２５ドルだ」
おーーーー、なんかカッコイイ機関銃を出してきた！ゴルゴ１３が使ってるようなやつだ！M16とかゆうらしい。２５ドルかー、けっこう高い気もするが、チョット持たせてもらった。
ううーーー、カッコイイじゃないか！２５ドルかー。・・・撃っちゃえーー！
一応簡単なレクチャーを受けて、さっそく撃つことにした。
最初は連射じゃなくて一発ごとに撃つようにしてもらった。
的は古タイヤを積み上げて、そこに的印を貼っ付けた物だった。
・・・戦車の方がよかったんだけどなー。
ドンッ！
おおおー、意外と反動は小さいぞ！しかし、弾はどこに当たったんだ？
ドンッ！
うううーん、快感だ！なんか、癖になりそうだぞ。
ドンッ！
おおおおーーーー！的に当たった！！狙った的とは別のやつだったけど、まーいいことにしよう。しかし、これは快感だ！ちょと連射モード変えてもらおう。店のアンちゃんが「銃が持ち上がらないようにしっかり持つんだぞ」と注意してくれた。そーかー、しっかり持つんだな。
ドッダダダダダダダーーー！！！ドダダドダダ！！
ウッヒャーー！こりゃ、メッチャクチャ快感だ！薬師丸ひろ子の気持ちがわかるぞ！・・・カチャカチャ。ありゃ？もー終わり？あっとゆー間じゃないか。
「どーだー、スゲー気持ちいいだろう。次はこれはどうだ？AK47だ。こっちの方が迫力あるぞ。これなら２０ドルだ」
おーー、はっきり言ってまだ撃ち足りなかったトコだ。そーかー、こっちの方が迫力あるのかー。２０ドルかー。・・・やっぱり撃たせてもらうことにした。
ドンッ！
おおーーー、確かにこっちの方が反動がデッカイぞ！なんか、撃ってるって感じがする。
ドンッ！ドンッ！
かーーー！もーたまらんな。又連射モードにしてもらった。
ドッダダダダダダダーーー！！！ドダダドダダ！！
今度はワザと銃を左右に振ってみた。おーーーー！！！土ぼこりは舞うわ、的にもバラバラバラバラ当たるわホントーに快感だ！なんか、病みつきになりそうだな！
「よしよし、調子いいじゃないか。次はどれにする」
「あ、いや、もーいい。オレ、後でロケットランチャー撃たなきゃいけないからさー、今日はこれでやめとくわ」
「なんだよー、もー終わりか？金がない？じゃあこれドーだ、手榴弾。これなら一発５ドルだ」
「ゲッ、手榴弾はやめとくよ。もし失敗したらえらい事になるからさー」
「大丈夫大丈夫！ちゃんとレクチャーしてヤッから。最初は石を投げて練習するから安心しろ」
「いや、いい。本当にいい」
「遠慮するなよー。そうだ、手榴弾３発投げたらこの拳銃タダで撃たせてやるよ」
「いらないいらない。拳銃はあんまり興味ないんだよ」
「だめか？じゃあこの拳銃はどうだ？」
おおっ！なんか、西部劇に出てくるようなアンティークな６連発だ。こ、これは撃ちたい！・・・あ、いや、待てよ。手榴弾３発１５ドルか。今回の旅行、ただでさえ金使いすぎてるからなー。後でロケットランチャー撃てるトコ探さなきゃなんないし、ロケットランチャー代がいくらするか見当もつかないしなー。
ものすごく後ろ髪引かれながらそこを後にした。しかし、あんな所にもし大金持って行ったら、ああっとゆう間に使っちゃうだろうなー。アンちゃんがその辺にバラバラ落ちていたヤッキョウを何個かお土産にくれたので、後でペンダントか何かにしよう。
宿に戻ってからもしばらく興奮していた。・・・ロケットランチャー撃ったらどーなっちゃうんだろう？５０ドルまでなら払ってもいーかなー。
時間が中途半端だったので、宿の近所の『トゥールスレーン刑務所博物館』とゆう所に行く事にした。歩いて３分ぐらいの所だ。ロケットランチャー捜索はとりあえず明日だな。
・・・そして、私はそこで、強烈な自己嫌悪に陥ってしまった。
