シガツェの写真色々

　家のお手伝いをする（多分そうだ）女の子達。

　馬車のおじさん。

　まだまだ馬車は現役だ。

　チベット旗の所で。

　山の途中の小さな小さなお寺にいた尼さん。

　写真を撮ろうとしたら「ちょっと待ってね」って言って服を整えだした。

　待てませんでした(^^)

　宿の真ん前にある露店。

　観光客用なんだろうか？でも地元の人も見ていたぞ。

　さぁって、ラツェに向って出発だ！思い立ったら行動は早いのだ。

　ラツェ行きのバス（ミニバス）は、町の真ん中の小汚いバス停から日に何本も出ている。適当に行ってもいつだって乗れるはずだ。距離だってさほど離れてない。ただし、バスに乗れればの話だ。

　ここシガツェまでは入域許可書の必要がない。好きな時に好きなだけ来れる。しかし、シガツェ以降はどこに行くにしたって許可証が必要だ。もちろんバスの切符を買う時にも必要だ。さてどうやって買おう。

　で、切符を買う方法として考えたんだけど、なぁんにも考えずにそのまま買いに行くことにした。でぇ、なぁんの問題もなく買えた。

　なんだよう、ヤッパ考えるより行動した方がいいね。さて、ラツェはどんな所だろう？ちなみにキップは30元だった。

　さてラツェです。あっとゆう間に着きました。町は、・・・何の変哲もない小さな小さな町です。2〜300mも歩けば終わってしまうぐらい小さな町だった。とりたてて景色がいいって場所でも無い。まあいいか。とりあえず宿に泊まろう。

　泊まった宿はチベタンなんとかホテルってゆうチベットの民家を意識した作りの宿だった。トイレは汲み取り式でシャワーもないが、まあ居心地はよさそうだ。

　ほんですぐ向かいの食堂で飯を食ってたんだけど、そしたら、食堂の前に大型バスが停った。二階建ての寝台バスだ。バスの腹には『ラサ⇔アリ』と大きく書いてある！！

　アリ行きのバスやんけ！わっ、あれに乗ったらアリに行けるんや！あっ、アカン、チェックインしたばっかりやがな。あっ、ほんでもコレに乗らな次のチャンスが。

　あたふたしてバスの運ちゃんに話を聞いたよ。あいにくこのバスは満員で乗れないけど、明日にも同じバスが来るから乗れるかもしれないって言っていた。

　明日も来るの？！毎日来るの？！

　どうも毎日じゃないらしいけども、とりあえず明日は来るらしい。その次はよく分からない。なんにせよこの食堂で飯を食うらしい。

　はい、食堂の姉ちゃんに頼んだよ。明日バスが来たら知らせてくれって頼んだよ。向かいの宿にいるから知らせてくれって。絶対乗りたいからって。いやなんか光が見えてきたぞ。明日だ。明日だ！

　はい、さっそく翌日です。なんかバスは3時から5時ぐらいの間に来るらしい。2時半にはリュック担いで食堂の前で待ちかまえちゃったよ。暇だよ。来るのが早過ぎたよ。しかたないのでギター弾いて待っていた。食堂のお姉ちゃんにはなかなか受けてたぞ。

　ば、バスが来たっ！！アリ行きのバスだ！

　早く停れ早く停れ客ちゃっちゃと降りろよ・・・早よ降りんかいっ！

　バスのスタッフらしき人が降りてきたのでさっそく交渉だ。・・・席は、無い。

　コレを逃すと次のチャンスはいつ来るか分からないよな。はっきり言ってラツェには何日も泊まりたくないぞ。

「あのー、席が無くてもいいから乗せて。お客さんが降りたらそこに座れるでしょ」

「お客は降りないよ。増えることはあっても減らないと思うぞ」

　ふぎゃー。なんか絶望的だなー。あれ？ちょっと待て、「増えることはあっても」？

「あのさぁ、この後もお客さんが乗ってくるの？席無いんでしょ？」

　どうも席は無いけど通路とかどっかに押し込むらしい。だったらオレも乗れるじゃない！

「通路でもいいのか？狭いぞ。アリまで遠いぞ」

「無問題！メイウェンティー！乗せてちょうだい！値段はなんぼ？」

「んーと、450元でいいや」

　450元！昨日のバスのヤツに一応値段を聞いたら600元って言っていた。これは安いぞ。

「んーと、ちょっとまけて」

「お、お前なぁー、乗りたいんじゃないのか？この値段だって十分安いし・・・」

「ゴメンナサイ！私が悪かった！乗せてちょうだい！文句は言いません！」

　ひやー、あぶないあぶない。元も子もなくなるところだったよ。でも乗れた！コレで安心だ。少なくともアリまでは確実に行けるぞ。アリまで行けりゃあなんとでもなる！カイラスが近づいてきたぞぉーー！

そしてここから、アリまでの長い長い旅が始まる。

　まずはバスのスタッフだが、3人いる。3人で交代で運転するのだ。夜もぶっ通しで休み無しだ。

　一人は私が交渉をした人。どうもこの人が一番偉いみたいだ。しかも顔が温厚。優しさあふれる顔をしてるし実際に優しい。この人はチベット人だな。

　次に性格悪い中国人。いや、こいつは絶対中国人だ。まあ、客を（オレのことだけど）客とも思わないのだ。まあ好き放題なのだ。あぁ、ちょっと言い過ぎだ。そこまではひどくないんだけど、でも性格は悪いぞ。

　最後は正体不明の体のゴツイ男。なんか、この人は無口なのだ。ほとんど、ひとっ言も喋らないでモクモクと運転していた。運転してない時は寝ていた。最後まで正体不明の男だったよ。

　ほんでバスの中だけど、私は通路にでも寝転がるつもりだった。しかし、通路もすでに満員だった。何人も通路に寝転がっていたのだ。そう、このバス、すでに定員オーバーだったのだ。満員じゃなくて満員以上だ。

　どうすんのよ。正直言って通路に寝てりゃあラクチンだと思ってたのだ。今までにも通路に寝たことがあったから、たかだか2泊3日は楽勝だと思ってた。楽勝じゃないよ、どうすんのよ。

　仕方ないんで、スタッフ達が寝てるバスの一番前（エンジンのある所）におじゃました。何とか場所を作ってもらったのだ。ちょっとは横になれそう。

　ところが！優しい兄ちゃんと正体不明男が休んでる時は良かったんだが、中国偏屈男が休みに入ると、もう、我がまま我がまま我がまま放題だった。

「おら！ちょとドケ！オレが寝れねぇじゃないか！」

　な、なんやねん、この男。思いっきり場所とって思いっきり体伸ばして寝てるよ。私もね、一応最初は遠慮してたのよ。なんたって無理から乗ってきたんだから。だけどね、だんだん腹が立ってきた。だって、なんかあまりにもあまりだったのだ。

「お前ちょっと場所開けんかいな！ワシかって寝たいがな！」（足でドンドン蹴る-おもいっきりじゃないよ）

「なにやってんだよー、お前じゃまなんだ！」

「じゃかっしゃいボケぇ！おーまーえーがぁ、もうちょっとこっち行ってこお詰めたら3人何とか寝れるヤンケ！」

「グダグダやかましい日本人やのぉ！」

　運転してる優しい兄ちゃんは笑ってる。正体不明は相変わらず喋らない。ちなみに、このあたりの会話は完全に日本語と中国語です。身ぶり手ぶり付きではあるが、なんか知らんが通じてるんだよな。

　だけどね、そうゆうゴタゴタがあった後は、なんか性格悪々中国人の態度が変わった。別に優しくなったわけじゃない。相変わらず好き勝手やっている。でも、なんか違うのだ。オレにタバコなんかくれちゃったりするし。

　よく分かんないけど、あんまり遠慮ばっかりしてちゃダメってコトは分かった。遠慮しちゃダメだよな。言うことは言わなきゃ。とか思った。

　その後は、私も好き放題させて頂きました。あ、好き放題ってのとは違うな。あんまり遠慮せずに、自由に振る舞わさせてもらった。

　とゆうことでバスの一番前でギターをかき鳴らした。だって暇だったんだもの。時間長すぎるんだもの。狭っこい場所で横になってるよりギター弾いて大声で歌った方が気持ちいいのだ。どうせバスの中はやかましいんだから（エンジンの音とかなんやらでやっかましいのだ）遠慮しなくていいのだ。前の方にいるお客さんには結構受けが良かったぞ。

　時間は過ぎて今は夜中です。当然アリはまだまだ先だ。窓の外を見ると、川にはまって立ち往生してる車がいた。するとバスの運転手、わざわざUターンしてその車のそばまで戻って行ったのだ。寝てる運転手も起こして川にはまってる車を助けに行ったのだ。

　偉いぞあんた達！性格悪々運転手も無口運転手も一緒になって手助けしてるよ。いいトコあんじゃん。とか思ってたら、最後に金もらってた。まあ、いいんだけどさ。

　翌日の夕方、大きな町に停った。シォチェンって町らしい。で、ここで何人か降りた！こ、これで通路に寝れるか？とか思ったんだけど、たしかに通路は空いた。でもほんの少しだけだ。寝れるようなスペースではない。それぐらい満員だったのだ。

　そしたらね、先に通路に寝てたお客さん達が気を利かせて場所を詰めてくれたのだ（ウレシイ！）。ただ、これで寝れるようになったかと言えば、そうとも言えない。あまりにも狭いのだ。何と言うか、体育座りのまま、そのまま背中を倒すような感じだ。けっこう辛いのだ。前の方で運転手ともめながら寝るのとどっこいどっこいなのだ。あ、でもあんまり贅沢言えないよな。

　それからは、その狭い通路で寝たりやっぱり前の方に戻ったりしながら過ごした。だって、どっちも苦しい体勢なら、同じ姿勢を続けるよりも違った苦しい体勢に変えた方が少しは楽なのだ。いつになったらアリに着くんだろう。まだ24時間を過ぎたばっかりだ。

　目が覚める。まだあたりは薄暗い。薄暗い中外を眺めると、雪が降っている！！雪だぞ雪！8月に雪なんか降るんじゃない！！見なかったことにしてもう少し寝とこう。

　寒くて寝てられないって！リュックの中からジャンバー引きずり出して着込む。ラサでは晴れた昼間ならTシャツですごせたのに、えらい違いだ。道もぬかるんでるみたいでスピードが全然出てない。元々遅いのによけい遅くなっちゃうよ。

　そして、次に停った時、さらにお客が乗ってきた。これ以上乗せるなよぉー。身の置き場が無くなってしまった。マダガスカルで身動きとれないぐらいギュウギュウ詰めのバスに乗ったことがあるけど、身動きとれないのも辛いが身の置き場が無いのも辛いぞ。

　翌夕方、モウロウとした中、外を眺めてたらすごい岩山を見た！

　けっこう大きい岩山だが、スゴイのだ、その模様が！まるで人の顔のように見えるのだ！巨大顔面が大挙して並んでるんだ。思わずドアの所まで行ってかぶりつきで見てしまったよ。いやホントすごかった。ひょっとしてモウロウとしてたからそう見えたのかもしれないが（確かにこの時フラフラだった）、それにしてもすごかったんだ。出来ることならここで停めてもらって写真撮りたかったよ。

　場所はねぇ、革吉って町の20〜30Km手前の右側だ。見逃さないでないでくれ！

　でね、ラサへの帰りにもこの岩を見るのを楽しみにしてたんだけど、帰りにはその岩山は無かった。どうも通った道が違うみたいだったんだ。うーん、実際はあの岩山はどこにあったんだろう？もう一度見たかったぞ。

　とゆうことで、その日の晩に革吉に到着。ほんでその革吉が寒いんだ！メチャクチャ寒いんだ！雪も降ってるんだ！！今までで一番寒いよ。

　で、この町で晩飯食ったんだけど、どーでもいいけどチベット、西に進むたんびに物価が上がるぞ！ここの食堂はけっこう高かった。

　まぁ物価はどうでもいいけど、西に進むたんびにチベット色が濃くなっていく（これは嬉しい）。この革吉には、民族衣装を着たチベタンの男性が目立つ。モコモコの毛皮みたいな服を着てるんだが、袖がものすごく長いのだ。袖だけ見てたら子供が大人の背広を着てるようだ。写真を撮りたかったのだが、寒さと疲れで写真を撮る気力もなかった。あの温かそうな服が欲しいぞ。

　そして、その日の夜中の12時過ぎ、アリに到着した！や、やっと着いた！丸2日と8時間かかったよ。もう、クタクタだ。でも着いた。やっと着いた。ここはアリだ！！よっしゃあぁぁあああ！！アリに到着すればこっちのもんだ！

　でも外は真っ暗だぞ。宿どうすんだ？バスは高級そうなホテルの前に停ってた。きっとここに泊まれってことだな。

　しかし、私はここに泊まるわけにはいかない。別に宿泊代が高そうだからじゃない（あ、それもあるのだが）。不用意にちゃんとしたホテルに泊まると警察に通報されてしまうのだ。なんたってこっちは入域許可書を持ってない。チェックインの時に許可書見せてって言われるのだ。持ってないのがバレると警察に連絡される。ほんで警察が来て罰金払わされるのだ。通報することでお金ももらえるらしい。だからちょっと怪しい小さな宿にこっそり泊まらなきゃいけないのだ。

　時間も遅いので近くにあった小さい宿に泊まった。外から見ただけじゃ宿に見えないけど、そうゆう怪しい宿は町にいっぱいあった。そうゆう宿はトイレも汚いし水も出ない（もちろんシャワーなんか無い）けど、贅沢言ってられる状態じゃあない。ベッドで体伸ばして寝れるのが嬉しいよー。