夜の宿はメチャクチャ寒かった、さすがにこれぐらいの高度になると（だいたい富士山と同じぐらい）メチャクチャ寒い。

　宿の部屋は気密性とゆう概念が全く無いような部屋で、扉は無いわ窓はすき間だらけだわ、メチャクチャ寒い。靴下はいてズボンはいてジャンバー着込んでから寝袋にもぐり込んだ（布団は無い！）。寒くて絶対寝れないと思っていたのだが、意外なほど熟睡できた。人間、どんな所でも順応できるのだろうか？

　さて、朝、一番気になる事といえば、・・・天候です。今日は晴れてくれてるだろうか？山は姿を見せてくれてるだろうか？・・・表に出ると、案の定と言うかやっぱりと言うか、・・・曇っていた。

　ガッカリしている所に、韓国の父さん母さんがやって来た。散歩にでも行ってきたのだろうか？

「いやー、君も朝寝坊だネー。私達はもう、散歩３ラウンド目だよ」

「これでも普段よりはよっぽど早起きなんですよー。ところで、山は見えましたか？」

「ダメだ、雲ばっかりだよ。やっぱり『ウイアー　ノーラック』だね」

　昨日うたった歌だ（ウイアー　ザ　ワールドの節でね）。やっぱりなー、日本一の雨男は健在だなー。

　この宿から少し行った所に山が見渡せる丘が有るのだが（もちろんマチャプチャレも見える）雲ばっかりだったそうだ。

　お父さんとウダウダやってるうちにみんな起きだしてきた。とりあえず、ま、朝飯だ。

　朝飯は昨日のお昼に食ったチベットパンとあったかいチャアだ。うん、このパンはやっぱりおいしい！後で又食おう！

　パン食べながら今後の予定を話し合った。私達はもう後は山おりて帰るだけだが、お父さん達はこれからシャランコットまで歩いていくと言う。ちょうど私達と逆のコースなんだ。その為９時にはここを出ると言う。そうかー、お別れかー。

　お別れの前に全員で一枚カシャリ。

　山は全然見えなかったけど、本当に楽しかった。

　又会えるといいなー。

　後はもう帰るだけなので、韓国大騒ぎ軍団を見送った後もしばらく宿でウダウダしてた。そして、最後にもう一度マチャプチャレが見渡せる（はずの）丘へ行くことにした。

　丘からの眺めは相変わらずの雲一面なのだ。でも、しばらくガイドと話していたらだんだん雲が晴れていきだした。あ、あれ、あれあれ、見えるのかな？・・・おお！み！見えたーー！マチャプチャレだー！！

　おおおーーー、マチャプチャレだ！写真じゃあ全然迫力や美しさが分からないだろうが、本当に綺麗で迫力があるんだよー。

　ところで、ネパールの写真屋さんヨー（インドもそうだけど）もっとフィルム大事に扱えヨー、傷だらけじゃないかー。あんたらトコだけだぞー、こんなに汚くするのは。皆さんも、インドやネパールでフィルムを出すときは覚悟しましょう、傷だらけになって帰ってきます（シクシク）。

　マチャプチャレの美しさに見とれて騒いで写真やら撮っていたら、そのうちに又雲が出て来やがった。ありゃりゃ、あっとゆうまに又雲の中だ。なんてこった、しょうみ５分ぐらいじゃないか。まったくなー、人を何だと思ってヤガんだ！

　目の前に広がる雲だらけの景色を見て、もう晴れる見込みはないな。・・・そろそろ帰ろうか。ま、たった５分間だけだったけどマチャプチャレを拝めて満足だ。それにしても可哀想なのは韓国軍団だ、せめて後１５分待ってれば見えたのになー。

　宿の人達に挨拶して、さあ！下山だ！

　来た道とはちょっと違ったルートを通って山をおりていく。おりていく途中、「はぁはぁ」言いながら登ってくる人達がたくさんいた。意外と日本人も多い。あの人達は今日ダンプスに泊まるのだろうか？晴れればいいんだが。

　山おりきって、川沿いの食堂で昼ご飯だ。このトレッキングツアー最後の昼飯、メニューは『ダルバート』と言うネパールの代表的な定食（？）だ。

　豆（ダル）のカレーと（ほとんどスープに近いのだが）ごはん、それに付け合わせの野菜が少々。はっきり言ってあまりおいしくはないのだが、なれてくるとけっこうクセになる。現地の人達は（もちろんガイドも）器用に右手だけを使って食べているんだが、私には到底そんなマネは出来ない。食堂でスプーンを借りて（これがけっこうオンボロの食堂でもスプーンを貸してくれる）食べていた。一度だけ手で食べてみたが、そこら中ベチョベチョにして、みっともないったりゃありゃしなかった。

　ダルバートを食べてたら、ガイドのやつが「もう、がまんできません！」とゆーかんじでしゃべりまくりだした。

「いやー、あの韓国の女の子達は最高だね！あんなハッピーな子は初めてだ！長くガイドをやってるが、あんな子達と知りあったのは初めてだよ。俺は丸顔の子がダンゼン気に入ったが、お前はどっちだ？」

　えっ、どっちって言われても・・・「俺はどっちも好きだなー。でも、どっちかって言えば途中で遊びに来た近所の女の子の方が好みかな」

「お、お前は何言ってんだ！韓国の子達の方がよっぽどいいじゃないか！俺はちゃんとアドレスを聞いたんだからなー」

　こっ、こいつはいつの間にそんなこと聞きやがったんだ！油断もスキもありゃしないなー。

「お前、意外とプレイボーイだなー」

「な、何言ってんだ、そ、そんなの普通じゃないかー」

　なんか妙に照れてヤガんなこいつは。

　しかし、いい奴だな。こいつのおかげで楽しいトレッキングになった。天候はサッパリだったけど、こいつと韓国大騒ぎ軍団のおかげでいい思い出になった。こいつのバカ話しを聞きながらダルバート食べて目の前の川を眺めて、いーー気持ちだ。

　さて、このトレッキングツアーの料金だが、宿に着いた後（３時前に着いた）町を散歩がてらほかのツアー料金とかを見るともなしに見ていたら（ドアやら窓やらにベッタベタ貼りまくっている）結構、いや、相当ボラれていた！金額もさることながら、トレッキングパーミッション代（登山許可書）も取られたんだが、私が行ったダンプスまでは無許可で行けるんだ！パーミッションが必要になるのはダンプス以降の山からなのだ！

　なんてこった！そりゃ無いだろ、せっかく気持ち良く旅行できたと思ったのに。だいなしじゃないか！

　でも、ホントにあのガイドもグルなんだろうか？あの屈託の無い笑顔や焼酎をおごってくれた事や・・・。金をボッタクっているのはホテルのオーナーだけでガイドは無関係じゃないのだろうか？・・・いや、そんなこたぁ無いな、あいつら兄弟だもんな。・・・じゃあみんなグルか？・・・でもなーあいつはいい奴だと思うんだけどなー。・・・でもなーボラれたしなー・・・。

　・・・。なんだかなー・・・。

　・・・・・・。

　あ゛ーーーーー！面倒くさい！！もー考えるのはヤメタ！！あのガイドはいい奴だ！そうだ！それでいいのだ！！