翌朝。・・・またまた快晴である！雲一つない快晴である！昨日から始まって日本に帰るまでずーーーーっと快晴だコノヤロー！！半分やけんなって朝っぱらから散歩に出かけた。

　晴天のポカラはポカポカら・・・。とりあえずホテルの近所を散歩。いつもは湖の方に歩いているんだが、今日は山側の方を歩いてみよう。

　朝早くというのに、けっこう人がアッチャコッチャ歩き回っている。すれ違う人に「ナマステー」と挨拶。みんなにこやかに応えてくれる。アジアの国々を散歩してて一番嬉しいのがこーゆー時だ。しかめっ面して歩いてるような人は誰もいない。みーんなにこやかな顔で、そして、見ず知らずの私なんかに挨拶を交わしてくれる。日本でも田舎の方に行くと同じように挨拶してくれるオバちゃんや子供たちがいる。おかしいのは日本の都会だけだろうか？

「ヘーーイ、ジャパニーーー！！」

　ありゃ、遠くのホテルのアンちゃんだ。「ヘーーイ、ナマステーーー」でも、なんであんな遠くから私が日本人だってわかったんだろう？そんなに日本人っぽい格好をしてるかなぁ？

「タッケッーーーーシ！！！」

　え？あ！韓国のチンちゃんだ！ありゃりゃあんな所に泊まってたのか！うちのホテルと目と鼻の先じゃないか！

「タッケーシ！こっち来い！こっち来てチャーを飲め！」

「あ、行く行く、飲む飲む」

「お前はなんだ！もー俺の顔忘れたのか？」韓国側のガイドのアンちゃんが怒ってる。

「違う違う、遠ーすぎてわからなかったんだよー。日本人は目が悪いんだ」

　ホテルの庭でギャーギャーやってたら、みんな起きてきた。

「あらーー！タッケーシ！どーしたんだ？良くここがわかったなー」

　いや、ただ散歩してただけなんだけど・・・。ここで、チャーと朝ご飯を（パンだけど）ご馳走になって話し込んでしまった。しかし、この一家には縁があるなー。

　しばらくして、私は又散歩へ、韓国軍団もそれぞれ出かけて行った。そして、夕方にチンちゃんとパッちゃんが、うちのホテルを訪ねてくれることになった（ガイドの野郎が喜ぶだろうな）。

　快晴の中、散歩が続く。まったく、憎たらしいくらいいい天気だ。

「ナマステー。日本人か？写真を撮ってるのか？俺がすごく眺めのいい場所に連れてってやろう」

　な、何だこいつは、ちょっと怪しい野郎だな。けど、面白そうだからついていこう。しかし、油断はしないからな！変な所連れてったら承知しないぞ！

「どーだー、ポカラは好きか？ここはすごく良いところだろ」

　うーん。人のよさそうな顔しているが、安心できないぞ。だんだん人気のないところへ進んで行くし。比較的広々としている道なのがすくいだな。イザとゆう時は走って逃げよう。

「どーだー、ここだー！すごくいい眺めだろー。ここは俺のお気に入りの場所なんだぜ」

　たしかに、メチャクチャいい眺めだ。ここは山の前にさえぎる物が何もないから、ヒマラヤがいっぺんに見渡せる。こりゃすごいや。

「よしよし、気に入ったようだな。じゃっ、俺は帰るから」

　えっ、あっ「あ、ありがとう」・・・彼はもと来た道をさっさと帰っていった。私を案内するためだけにここへ来たんだ。

　なんてこった。俺は何をやってんだ。いい奴と悪い奴を見分けることも出来ないのか？そもそも悪い奴って何だ？ネパールへ来て一度でもひどい目にあったか？ちょっと金をボラれた程度じゃないか。まったく、なんて情けないやつだ。すげー自己嫌悪だ。

　しばらく地べたに座ってボーっとしていた。静かでぜんぜん人も来なくてヒマラヤがよく見えて、本当にいい所だ。今度あのアンちゃんに会ったらお礼を言っておこう（結局会えなかったけど）。

　けっこう長い時間ここにいた。何を考えていたんだろう？よく思い出せない。

　帰り道、迷子になってしまった。でも、旅行先の迷子はけっこう楽しい。

　適当に歩いていたら出くわした、ちょっと変わった家。

　ホテルでもないし学校でもないし。洗濯しているお姉さん達に「この家は何ですか？」と訪ねたが教えてくれなかった。

「ホテルですか？」と訪ねたら２人して笑われてしまった。けっしてホテルではないらしい。

　ひょっとしたら何かの施設だろうか？

　引き続いて歩いていると「写真撮って撮って」と女の子にせがまれた。もちろん撮ってあげますとも！

　撮ってあげたら「サンキュー」といって走って帰っていった。

　なんだか、わけもなく嬉しい。

　さて、アッチコッチうろついて帰ってきた夕方、ホテルの反対側から歩いてくる３人組がいる。・・・うちのガイドと韓国２人娘じゃないか！なんだぁー？

「やあ、俺が彼女達を迎えに行ったんだ」

「な、何でお前が彼女達のホテルを知っているんだ？」

「何言ってんだ、ダンプスで聞いたに決まってんじゃねえか」

　なんて野郎だ、住所だけじゃなくてホテルの場所まで聞いてたんだ！何で俺に教えないんだ！

　まーいいや。ホテルの庭でみんなでチャーを飲もう。ちょうどダンプスの写真も出来てるから見せてあげよう、マチャプチャレの写真もあるからね。彼女達は結局見れなかったからな、あと１５分待ってればよかったのに。・・・と思ってたらガイドのやつ、何しゃべりだすんだ？

「おしかったねー、後たった３分で見れたのにー」

　おいおいおい、そりゃ言い過ぎだろー。

「そーだよー、たった３分なのになー、もったいない事したなー」（俺も調子いいなー）

　あんのじょう、女の子達はじだんだ踏んでくやしがってる。それにしてもガイドのやろーメチャメチャ嬉しそうな顔してるなー。

　話しを聞くと彼女達は明日の晩のバスでインドに戻るらしい。お父さん達はお昼の飛行機でいったんカトマンドゥへ戻るそうだ。

　よーし、じゃあ明日の朝はガイドと一緒に彼女達のホテルへ行こう。明日が楽しみだ。